今すぐではなくても、いずれ田舎で暮らしをしたいという方は、確実にいます。また、働き方や仕事に対する考え方も多様化していることで、田舎へ移住したい方は増えているのではないでしょうか。「都会で働く日々に疲れたから」「旅行で訪れたときに気に入ったから」「大自然の中で生活してみたいから」など、理由は人それぞれ。一方で、移住後に仕事はあるのかという不安も抱いているかもしれません。そこで、田舎での仕事とその魅力、さらにその種類などに迫ります。
田舎に移住する夢を持っている人が、なかなか踏み切れない理由のひとつに挙げられるのは、仕事に対する不安。都会から引っ越して田舎暮らしを始めるにも、仕事があってこそですから。
でも、どうやって仕事を探せばいいのか、わからないですし不安もありますよね。田舎は業種も職種の選択肢は限られ、都市部に比べると人口も少ないので、求人も少なくなります。しかし、業種によっては職種も豊富。なので、一見求人数が少ないように感じても、実は人手不足の職種もあったりもするのです。
田舎暮らしをしながらできる仕事と、田舎暮らしでは難しい仕事が、たしかにあるかもしれませんが、そのあたりも含めて、田舎暮らしがかなう仕事を解説していきましょう。
田舎への移住を検討している人に、田舎でできる仕事10選をピックアップして紹介します。ぜひとも、目を通して検討してみてください。
これは、けっこう知られてきているのではないでしょうか。地域おこし協力隊とは、高齢化や人口減少が著しい地域に移住して、地域の活性化を促す制度。主な業務内容は、地域ブランドや地域産品の開発・販売・PRなどの地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などです。
地域おこし協力隊の活動期間はたいてい、1年以上3年未満。期限が決まっているとはいえ、270~470万円程度の年収を保証してもらいながら、田舎暮らしができるのはありがたい話。収入を確保しながら、まずは田舎暮らしを体験してみたい、という人にはとても魅力的なのではないでしょうか。
田舎で自給自足の暮らしをしてみたい、と考えている人におすすめなのが、一次産業の仕事。農業、林業、漁業(水産業)に加え、鉱業もあります。
農業は田畑で米や野菜、果物なども栽培し、収穫し、(JAなどに)販売して収入を得るという仕事。牛や豚、鶏、羊など家畜を飼育し、食用の肉や卵、乳のほか、副産物の毛皮などを生産する畜産業も、実は農業に分類されています。
林業とは木を育て、森をつくり、育った木を伐採して売る仕事。切った丸太を売るだけでなく、細かく砕いたチップなどにして販売することもあります。木を切ったあと、苗木を植えて、新しい木を育て、未来の世代のために森を育てるのも大切な仕事の1つです。
漁業(水産業)は営利目的で魚介類を捕獲したり、海苔や昆布などを取ったりする仕事。または、稚魚を生け簀(す)などで飼育し、食べられる大きさになったら出荷する養殖も漁業の1つです。魚に限らず、牡蠣(かき)、ホタテ、アサリ、アワビなど貝類の養殖もあります。
また、鉱業も一次産業の1つ。日本でも以前は石炭をはじめ、金や銀、銅や鉄、亜鉛などの採掘が大規模に行われ、少量ながら石油・天然ガスも採掘されていました。現在は石灰岩などが中心で、その他の鉱山は少数が操業されています。
体力に自信がある人は、大工の仕事もいいかもしれません。大工の仕事は、設計図をもとに、主に木造建築物を建てること。田舎の多くは高齢化や過疎化が進み、大工の仕事はあっても人手が不足しているのが現状です。
そのため、大工を希望すれば歓迎してくれるでしょう。大工の仕事に資格は必要なく、年齢や学歴も問われないケースが少なくありません。
モノづくりが好きな人なら、家具職人も選択肢の1つにしてもいいかもしれません。自分の工房を構え、手作りでテーブル、ソファ、棚などを仕上げて販売する仕事です。
田舎暮らしをする人に、家具職人は人気職業の1つで、自分のペースで働くことができるのも魅力。ただし、必ず家具の買い手がつくわけではなく、収入がゼロになってしまう可能性もあります。
技術の習得はもちろんのこと、ウェブサイトによるPRや、販路の確立なども、家具職人の仕事を成り立たせるのに重要です。
田舎の空き家を活用し、ゲストハウスや民泊にするのも人気です。田舎の空き家は都会に比べると安く購入できるので、初期投資を抑えられるのも魅力。地域によってはインバウンド需要も見込めるので、ビジネスとしても可能性を秘めています。
また、空き家や古民家をリノベーションする際、自治体の補助金や助成金が利用できるケースもあるので、それが大いに役立つこともあります。
たとえば、世界最大手の民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」を上手に利用すれば、世界中から集客することもできるので、以前に比べ、ゲストハウスや民泊を始めやすくなったともいえるかもしれません。
古民家カフェも、ゲストハウスや民泊のように人気。ゲストハウスや民泊と、古民家カフェを兼務するスタイルも珍しくありません。
田舎暮らしを始め、自宅の余ったスペースもカフェにしたり、宿泊施設にしたりする人もいます。田舎では都会に比べて広い家に住みやすいため、余ったスペースを有効活用しやすいというのも、地方暮らしの魅力です。
田舎で暮らしたいとまではいかない人でも、「田舎へ足をのばして、のんびり過ごしたい」と思っている人は少なくないため、SNSなどでアピールすることで、田舎で開いたカフェに旅行客などが訪れ、注目スポットになることもあります。
また、古民家カフェの経営は自分にはハードルが高い、と思う人もいるかもしれませんが、そんな場合、古民家カフェやレストランなどでスタッフとして働くという方法もあるでしょう。飲食店や旅館などで働きながら田舎暮らしをする、という選択肢もありですよね。
ただし、都会に比べて田舎はお店の数が少ないので、実際に引っ越す前にスタッフとして働くことが可能かどうか、下調べすることをおすすめします。
高齢化は日本全国どこにおいても社会問題になっています。都市部はもちろんのこと、田舎でも高齢化の影響はまぬかれません。
よって、ご想像どおり、介護士はほぼどこでも不足しています。介護士は未経験からでも就職できることが多く、資格支援をしている企業も少なくありません。また、専門職のため、学歴や年齢より経験が重視される仕事でもあります。
未経験からでもなることができる介護士。田舎で介護士をしながら、田舎暮らしを実現してみませんか。
介護士とともに、不足しがちなのが看護師。看護士になるには資格が必要です。その資格を持っていれば食いっぱぐれない、といわれることがあります。それぐらい、常に手が足りていない職業なのです。
都会でキャリアを積んだあと、田舎でそのキャリアを生かすのもいいでしょう。前述したように看護士は資格が必要なうえ、働き手が慢性的に不足しがちなので、田舎暮らしと同時に、田舎で看護師として働くことも比較的容易でしょう。
また、看護士の資格を持っていれば、医療事務、保育園の看護師、訪問看護師、行政看護師、治験コーディネーターなど、いわゆる病院勤務以外にもさまざまな働き方が可能です。
田舎への移住を実現するのに、公共事業関連の仕事に就くという方法もあります。公共事業というのは一切なくなることはなく、常にどこかで行われているといってもいいでしょう。
もちろん、公共事業は田舎でも行われているので、選択肢の1つとして検討してもいいかもしれません。電気関係や設備関係の経験や資格がある人は、その強みを生かし、インフラ関係の公共事業関連の仕事に就くのもいいかもしれません。
また、公務員を募集していることもあるので、気になっている地方やエリアがあるなら、普段からチェックしておくのもいいでしょう。
フリーランスにしろ、会社勤めにしろ、クリエイターは場所に縛られずに仕事ができることが珍しくありません。
プログラマーは需要が高く、案件単価にも比較的恵まれているうえ、インターネット環境さえ整っていれば、全国どこに住みながらでも働ける可能性が高いでしょう。
Webデザイナーも、プログラマーのように基本的に自宅で仕事がしやすい職業。田舎で暮らし、大自然を感じながら仕事ができることで、都会で働く場合に比べてストレスがたまりにくいと感じる人が少なくないでしょう。
田舎で生活しながらフォトグラファーとして活動する人もいます。自然に囲まれた環境に身をゆだねることで創作心を刺激され、あなたにとっての新たな境地に達するかもしれません。
副業としてフォトグラファーに取り組む人も少なくなく、Webデザイナー兼フォトグラファーとして活動する方法もあります。また、田舎を拠点にしながら、自然の魅力をカメラに収め、撮影した写真をネットのサービスを通じて販売している人もいます。
では、地方移住を果たした人がどんな仕事をしているのか、またどんな思いで移住を決めたのか、などの声を紹介します。
神奈川県川崎市のスポーツ自転車専門店で働いていた男性は、「自分の趣味や強みを生かしたい」との思いから、十勝の音更町に地域おこし協力隊としてやってきました。任期終了後もそのまま音更町に暮らし、サイクリスト向け自転車サービスの開業準備を進めています。
また、神戸から移住し、十勝でパン屋を開業した夫婦がいます。移住の理由について、ご主人は「隣の畑で作られる有機・自然栽培の小麦をそのまま製粉してパン作りができるこの場所は、まさに理想」と答えました。
関西、東京で暮らし、海外留学経験もある女性は現在、十勝・中札内村にあるグランピングリゾートのフロントスタッフとして勤務。「北海道がとても好きで、いつか北海道に住みたい」と思っていたそうです。
そして、愛知県から十勝の上士幌町に移住してきた写真家の男性。「社会人のとき、道央・道北・道東に仲間と写真を撮りに来たことがあり、第二の人生をどうするか考えたときに、北海道に住むのもいいかなと考えまして」ということです。
さらに、十勝・浦幌町にあるブックカフェの店長に就任した女性は、東京から移住。「書店を開きたい」をいう願望を、人口約4,000人の町でかなえました。
ちょっと変わったところでは、Uターンして十勝・帯広市で宮大工をしている方もいます。その会社では大工見習いを募集中。応募資格は「強い思い」とのことなので、未経験だからといって尻込みすることがなさそうですよ。
田舎暮らしがちょっとでも気になったら、まずはいろいろ調べて、自分の希望にフィットするかをチェックしてみませんか。移住を検討するのに役立つウェブサイトを紹介します。
最後に紹介するのは、田舎暮らしの仕事を探す人に向けた、とっておきのウェブサイト。北海道“とかち”の移住・転職マッチングサイト「TCRU(ティクル)」なら、自分にぴったりの仕事が見つかるかもしれません。ぜひチェックしてみてくださいね!