前回の「移住すると家がもらえるんです」に続き、今回は「移住するとお金がもらえる」をテーマに、最新の移住支援金」について解説します。昨今のトレンドでもある地方移住ですが、まだまだ、移住支援金について知らない人が多く、これはとても残念なことです。そこで今回は、移住支援金ランキング2022-2023として、ご紹介いたします。
地方移住を考えているみなさんに是非知っておいていただきたいことがあります。地方へ移住することで「移住支援金」の制度を利用できることはご存知でしょうか。条件などはあるものの、移住したり移住先で就職したりすることで支援金が支給される制度がありますので、都心から地方への移住を検討している人は要注目です。
先ずは、「移住支援金の詳細」、「自治体別の移住支援金とその内容」、「最後に北海道と十勝の移住支援金」についてご紹介いたします。
移住することでもらえる支援金には大きく分けて二つあります。「移住支援金」と「起業支援金」です。
移住支援金とは、「東京23区に在住、もしくは通勤している人が東京圏外に移住し、起業や就職をして支援金を受ける制度」のことです。
支援金額は単身者で60万円以内、世帯で100万円以内の、都道府県が設定する額となっています。つまり、うまく設定額の高い都道府県を見つけたり、都道府県ごとの条件を満たしたりすることで、100万円ももらえることになるのです。しかしながら、支給対象となるには規定があり、以下の条件を満たさないといけません。
移住支援金の対象※次の①②③すべてに該当する方が対象となります。
①【移住元】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
②【移住先】東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)
③【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施引用:移住支援金|地方創生
また、地方創生のホームページによると、移住元に関しては「移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し、東京23区へ通勤していた者」、移住先に関しては「申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること」などといった様々な条件が設定されていますので、しっかりと確認しておきましょう。
では、全国各地の移住支援金の額はどうなっているのでしょうか。前述のように実施している自治体における移住支援金は単身者60万円、それ以外の場合は100万円というのが一般的と考えてよいと思われます。ですが、移住支援のかたちはそれだけではありません。それゆえ、地域によって差がないわけではないのです。
それでは、ここからはランキング形式で、各自治体の移住支援の充実度をみてみましょう。
まずは「住まい」に関する移住支援についてです。お金を支給する以外にも、家を提供する、住居費を補助するなど、住まいに関する経済的な援助を実施している自治体があります。そのような住居に関連したサポートを行っている自治体のランキングをご紹介しましょう。
島根県中南部にある飯南町では住宅に関する様々な支援を行っておりますが、中でも注目なのは「定住促進賃貸住宅」制度です。これは、新築住宅に25年以上住むことを条件に、土地建物をもらえてしまう制度です。
つまり、月4万円の家賃を支払いながら25年間住み続ければ、新築住宅が手に入るのです。終の棲家と考えれば25年間はさほど長くもないと思われますが、25年未満に退去した場合、家賃12カ月分の違約金が発生します。こうした制度はうれしい反面、契約違反によるペナルティもしっかりあるので、やはりよく考えて利用しなければなりません。
北海道にある赤井川村。場所としては小樽の近くにあります。赤井川村は豊かな自然に恵まれ、面積の大半を森林が占める村です。
赤井川村では2016(平成28)年から「移住・定住支援事業」をスタートし、赤井川村に10年以上居住する人に向け、住宅建設資金300万円を支給しています。
また、新築建設後3年間は固定資産税を半額にする優遇措置を実施。こうした制度は定住による人口増加、地域活性化を目的に取り入れられました。
赤井川村の特徴としては、NPO法人「日本で最も美しい村連合」発足時の7つの加盟町村の1つであり、美しい村を美しい姿のまま守る活動を先頭に立って続けている素敵な村です。
1位と同じ島根県の東部に位置する雲南市では、住宅関連の工事費の助成などを行っており、「木造住宅耐震改修補助事業」「がけ地近接危険住宅等移転事業」など自然災害から身を守る対策として、住まいの改修工事や移転を推奨しています。
また雲南市では、市営住宅に入居する子育て世帯の家賃を最長で3年間減額するなど、子育て支援にも力を入れています。
次は、「子育て」に関する支援のランキングです。地方移住を考える理由として「自然のなかで子どもを育てたい」がよく挙げられることから、地方移住と子育ては強い関係性を持っていると言えるでしょう。そうすると、育児支援のための経済的サポートが充実していたり、子育て世帯を支えるさまざまな仕組みが用意されていたりする自治体は、子育て家庭に住みよい環境をつくろうとしているという点で、子育て世帯以外にとっても安心できる地域であると言えるかもしれません。
子育て支援に特に力を入れているのが、大分県北東部にある豊後高田市です。
豊後高田市では「子育て世代いらっしゃい引越し応援事業」を推進しているほか、「幼稚園・小学校・中学校の給食無償化」「がんばる高校生応援金(バス通学支援制度)」などといった様々な子育て支援を展開しています。
このように積極的に子育て世帯の支援をするとともに、定住促進を目的としている豊後高田市は、子育てをしながらの地方移住を検討する人にとって、非常に魅力的な候補地といえるでしょう。
長野県南部に位置する宮田村では、子育て支援に関する補助金が大変充実しております。
・輝く子育て応援事業(誕生祝金、保育料助成、輝く子育て応援金、子育てファミリー転入奨励金、小中学校入学祝金、小中学校給食費補助、小中学校通学鞄支給、ふるさと18きっぷ)・ママサポート事業・母乳相談事業・産後ケア事業
これだけ揃えられているとなると、子育て世帯にとっては期待が膨らむのではないでしょうか。特に、子育てファミリー転入奨励金が用意されているのは、地方移住希望者にとっても大きな魅力となります。
北海道の道央エリアにある沼田町では、「未来を創る子どもたちを地域ぐるみで愛し、育てています」をモットーに掲げています。
沼田町では数々の子育て支援が実施されており、「沼田町出産祝金支給事業」では出生児1人あたり10万円を支給しているほか、子どもが生まれた後の応援も充実しており、子どもの遊び場の提供、子育て世帯の情報交換から援助など、さまざまな子育てサポートを受けることができます。また、子育てに関する情報を親どうしが共有し、心配ごとを一人で抱え込まずに話せる環境づくりにも町ぐるみで取り組んでいます。
「住まい編」「子育て編」ともにランキングの順位は便宜上のものですが、地方移住のエリアを検討するための参考になれば幸いです。
それでは、移住支援が充実している全国の各自治体をご紹介したところで、我らが北海道や十勝の移住支援についてご紹介しましょう。
まず、芦別市では、移住定住促進策として住宅を取得した方に奨励金を交付しています。これにより、条件を満たせば、新築住宅であれば最大470万、中古住宅であれば最大220万を奨励金として受け取ることができます。
次に、函館市では、市内に移住する方が空家を取得し,自らが居住するために行う改修工事の費用の一部を補助する制度を実施しています。「補助対象地区内にあり,建築後10年を超える空家であること」、「概ね1年以上居住その他の使用実績がない空家であることを申告できること」などといった条件を満たせば、補助の対象となる経費の3分の2以内の額で200万円を上限として補助を受けることができます。
このように、移住について一番のハードルとなりやすい住まいについて手厚い補助を受けることができるのは、やはり大きな魅力ですね。
また、北海道では移住支援だけでなく、「移住体験金」も用意している自治体もあります。というのも、首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)などから下見で足をのばすにも、北海道に行くにはそれなりの費用がかかるため、移住体験金などのサポートは大いに喜ばれているのです。
こちらは北海道帯広市または十勝管内の企業への就職を希望されている方のための個別プランであり、就職を検討する企業への訪問が決定した方が申し込むことができます。
企業訪問と帯広市役所での相談以外は自由行動を確約された上で、帯広までの交通費と帯広市内の宿泊費として最大50,000円(同伴者ありの場合は90,000円)の補助が受けられます。負担となりがちな道内への交通費・宿泊費をサポートしてくれるのはありがたいですね。
補助の対象となるのは、帯広市までの交通費(道外発着:羽田空港~とかち帯広空港or各国内空港~新千歳空港、フェリーも利用可/道内発着:道内主要駅~帯広駅)、帯広市内の宿泊費、滞在中のレンタカー代です。お買い物等個人的費用、十勝管内のタクシー・JR・路線バスの交通費、駐車場代、燃料費、高速道路費用等は対象外となっていますので、お気をつけください。
また、帯広市では、短期間の移住体験を希望する方で、3泊以上滞在する方に対し、民間事業者(ちょっと暮らしサポーター)と連携し、滞在施設を割安で提供するほか、地域での生活などに関する情報提供を行う「ちょっと暮らし」施設の制度を実施しています。つまり、提携している宿泊施設を拠点に、短期間の移住体験が格安でできてしまうというわけですね。こちらも移住を考えている人にとっては大変ありがたい制度となっています。
ちょっと暮らしの制度は帯広市の東のほうに位置する浦幌町でも実施されております。こちらのほうもぜひチェックしてみてください。
十勝管内にある、清水町や音更町では、移住希望者に対し、生活備品を備えた生活体験ができる移住体験住宅を用意しています。
移住体験住宅は、利便性の確認や移住に向けた住居探し・仕事探し、音更町の魅力探しなどの活動拠点として利用することができます。
自治体ごとに利用料や、利用できる期間が異なるので、こちらも各自治体のホームページをチェックしてみてください。
以上、「移住支援金の詳細」、「自治体別の移住支援金とその内容」、「最後に北海道と十勝の移住支援金」についてご紹介いたしました。現在、日本では政府と各自治体が一体となって、様々な移住支援が考案・実施されているのがお分かりいただけたかと思います。地方移住を考えていた方々はもとより、今までそんなこと考えていなかった方にも、これを機に興味を持っていただけたら幸いです。是非参考にしてみてください。
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