全国で商店街が衰退の危機に直面する中、帯広市は見事にその逆境を乗り越え、活気を取り戻した成功例の一つとして注目を集めています。最近では大型店舗の撤退ニュースが相次いでいますが、振り返れば、帯広市の商店街は郊外型の大型店舗に押されて一時は過疎化が進みましたが、市民の情熱とアイデアが結集し、新たな魅力を生み出すことで再びにぎわいを取り戻したんです。本記事では、帯広市をはじめとする全国各地で行われた商店街活性化の成功事例を詳しくご紹介。地方商店街の再生に必要な要素と、その取り組みの背景に迫ります。これを読めば、あなたのまちにも活力を取り戻すヒントが見つかるかもしれません。
長年、十勝平野の中心地として栄えてきた北海道帯広市ですが、客足が郊外へと向いていることにより、古くからある街中の商店街が過疎化してしまっていることが問題となっていました。そこで、もとの賑わいを取り戻すための支援として、平成12年に「帯広市中心市街地活性化基本計画」が策定されました。
その一環として効果を発揮しているのが、「北の屋台」の取り組みです。北の屋台は商店街にある屋台村で、焼き鳥・串焼き・居酒屋・フレンチ・中華・韓国料理やおばんざいなど、個性豊かな20軒の屋台が、軒を並べています。この事業は「帯広の街を良くしたい」という市民の思いから、2年半の調査期間を経て実現しました。
そうした市民の情熱もあって若者が集まる人気スポットとして定着しています。今では、年間18万人の人出と3億円の売上実績をあげることに成功しており、少ない投資でも開業できる屋台は新たな起業の場としても注目されていて、屋台から卒業した後、中心街の空き店舗で本格営業を始める人も出てきています。
また、ばんえい十勝で活躍した輓馬、「ムサシコマ」が曳く馬車ツアー「馬車BAR」も、道内外から注目を浴びています。「ばんえい競馬」はソリを曳いた馬たちが力と速さを競う競馬で、帯広固有の文化です。JR帯広駅から徒歩3分の中心市街地にあり、運営もとでもある「HOTEL & CAFE NUPKA」を発着地点に、約2キロのコースを50分ほどで巡ります。地元素材のクラフトビールやおつまみをお供に、北の屋台、帯広駅前など賑わい溢れる夜の中心市街地を馬車から眺める異日常体験を楽しむことができます。
こうした取り組みが功を奏し、現在の帯広の商店街には活気が戻ってきており、道内外から若者が訪れる場所となっています。
ほかにも、商店街のシンボル「アーケード街」を盛り上げようと、従来からあった、「七夕まつり」や「帯広まちなか歩行者天国(オビヒロホコテン)」のほか、広小路(全天候型アーケード&歩行者天国)祭りが新たなに誕生するなど、街なかイベントが大盛況!
さらには、北海道中から農業王国「十勝」の秋の実りを楽しめる食の王国・十勝の豊かな食材・食品・料理が一堂に会する、十勝最大の食と音楽のフェスティバル「とかちマルシェ」などなど、いま帯広の商店街が熱いんです!
いま商店街は、来街者の減少、空き店舗の増加、店主の高齢化、後継者不足など、様々な課題に直面しています。首都圏ほど交通網に恵まれていない地方では、車が移動手段の主流となるので、広い駐車場を持つ郊外型の大型店舗に客が流出してしまうのです。その結果、昔ながらの商店街は多くの問題に悩まされているのです。
商店街は、地域の商業エリアであるとともに、地域コミュニティの拠点としての役割も担っています。だから、商店街を元気にすることは、地域コミュニティの再生、地域の魅力向上にもつながるのです。商店街を取り巻く環境は厳しさを増していますが、アイデアや工夫によって活性化に成功している例も多く見られます。元気な商店街をつくる上で必要な要素を、事例とともに解説していきましょう。
青森市新町商店街では、新幹線の函館開通など商業環境が急激かつ大幅に変化する中で、集客促進に向けて商店街の若手経営者や女性メンバーが中心となって「一店逸品運動」を推進しています。併せて実施している「お店回りツアー」は地元だけでなく観光客からも好評で、商店街とそれぞれの店舗を改めて認識してもらう絶好の機会となるとともに、逸品の開発過程において参加者同士の研鑽が進み、各店舗の販売戦略の再構築等にもつながっています。
秋田県大館市にある「大町商店街」では、地元出身のアーティストがアートユニット「ゼロダテ」を組織し、空き店舗を活用した「街なか美術館」を提案しています。市民ボランティアや商店街、若手アーティストが連携したアート・イベント(ゼロダテ/大館展)により、商店街の回遊性を高め、市民が身近に芸術に親しむ機会も提供しています。「ゼロダテ」は、春の東京展、夏の大館展、冬のアメッコ市展など、通年を通した活動を展開しています。
高岡市中心部の商店街では、まちづくり会社・末広開発株式会社が、高岡市、高岡商工会議所と連携し、家主に代わり店子の誘致や育成マネジメントを行う、「家守事業」で空き店舗の再生に取り組んでいます。本格的な空き店舗再生事業である高岡版家守事業の第一弾として、高岡のものづくり文化を反映した、国内外で評価の高い最新のクラフトを扱うアンテナショップ「”D’Front”」をオープンしています。
加賀市にある山中温泉南町ゆげ街道では、地域の観光資源である温泉と漆器産業との協調により、山中漆器を中心に、「山中漆器と加賀漬物」、「オルゴールと山中漆器」といった「一店舗2業種事業」を展開しています。個々の店の経営努力による魅力の向上と地域の魅力発信の両輪を中心とした活性化に積極的に取り組む商店街です。
5.静岡県富士市・吉原商店街
静岡県富士市の吉原商店街で運営されている「チャレンジショップ・吉商本舗」は、地元の商業高校の商業ビジネス部とNPO法人の協働で運営する常設店舗で、全国的にも有名な高校生チャレンジショップです。高校生が商店街で部活動として”駄菓子屋”を運営、多くの若者が主体として街を盛り上げています。また、高校生に向けて、販売実習やオリジナル商品開発等の講義も行っています。
宵田商店街では、豊岡の地域資源である「かばん」をキーアイテムとして商店街の活性化を図っています。商店街を「カバンストリート」と位置付け、商店街の若手で検討・開設したギャラリー「カバンステーション」を核に、”かばん産地豊岡”の情報を発信しています。そのほか、自動販売機でオリジナルのかばんを販売するなどといったユニークな活動も行っている。
湯浅町内商店街では、商店街・自治体と、地元街並み研究会、和歌山大学等が連携し、町並みの景観整備に努めています。その結果、平成18年に、北町・中町・鍛治町の町並みが重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けました。これらの地域資源を活かしながら、伝統的なシロウオ漁の復活、回遊マップの作成、語り部育成など、地域住民との協働による「身の丈にあった」手作りの町づくりを実践しています。
三次本通商店街では、歴史・文化・自然をテーマに「三次町歴みち協議会」を中心に町ぐるみで活性化に取り組んでいます。「いにしえの里三次物の怪(もののけ)・でこ街道」として街並みを整備し、空き店舗を活用し、5年間で13店舗をオープンすることに成功しました。今まで商店街になかった業種や購買層をターゲットにした店舗も誕生しました。
六ツ門商店街では、誰もが安心して出かけることができる商店街として、「街なか」ならではの、ゆっくりとした時の流れを楽しめる、人にやさしい街づくりをめざしています。六角堂広場の集客力を軸に、六ツ門大学やタウンモビリティなどとの連携事業により、商店街に新たな人の流れを生み、商業者の自主的な取組の中、市民・大学・NPO法人などの様々なネットワークによるコミュニティ形成が図られている。
銀天街商店街では、「食とアートと交流のまちづくり」を目指し、従来の惣菜を中心とした地域の台所としての機能に加え、若者やアーティストによるユニークな活性化に取り組むなど、独自の商店街再生を図ってます。大型店にはない「まちぐゎ~」(市場)の雰囲気を前面に出していくことで注目を集めています
ここからは北海道へ移住しようかな、と考えている人に向けて、最近活気づいている道内のまちを紹介していこうと思います。冒頭にあげた帯広ももちろんその一つなのですが、北海道にはまだまだ元気なまちがたくさんあります。
一つは、帯広市のおとなりにある「音更町」です。音更町は、もとは「帯広市のベッドタウン」と言われていたまちですが、今ではそんなことを感じさせないほど、街そのものが盛り上がってきています。
魅力としては、まずは、「十勝川温泉」が挙げられるでしょう。十勝川温泉に湧き出ている「モール温泉」は、世界でわずか2箇所しか存在しないという希少価値の高い温泉です。地下深くから湧き出る55~60℃の高温なモールの湯は、かつてアイヌの人たちが「薬の沼」として親しんでいたという逸話もある、十勝川温泉の象徴とも言える存在なのです。
そのほか、2022年に開業した「道の駅おとふけ」は、連続テレビ小説「なつぞら」のセットを模した施設を持つ、十勝の新たな観光の拠点となっています。このドラマは、十勝の大自然や人々の温かさを全国に知らしめ、多くの観光客が音更町を訪れるきっかけとなりました。
もう一つは、北海道中南部にある「室蘭市」です。室蘭市では、かつて「鉄のまち」として栄えた輪西地区の商店街を再生するため、商店街が中心となって中心部に輪西のお茶の間づくり、「暮らしの広場」構想を推進しています。
複合商業施設「ぷらっと。てついち」には、地元スーパーを核に16店舗が入居するほか、子育て支援施設「ワニワニクラブ」が設置されており、子育て世代にもやさしいまちとなっています。また、エコ商店街としての取組などにより、様々な交流が生まれ、「鉄のまち」を支える商店街が完全復活しました。
我が国の地方部では、多くのまちなか商店街がさまざまな問題を抱えており、それぞれがその課題を克服しようと頑張っています。そうしたまちには、都市部にはない連帯感や向上心があり、課題を克服するためのチャレンジを奨励するような活気にあふれています。北海道だけでなく、地方に移住するなら、そんな商店街を盛り上げようと創意工夫に励んでいるまちに移住してみることをぜひお勧めしたいです。
十勝の食文化の未来を切り開く料理マネージャー募集!「食の大地十勝」x「クラフトフード」x「帯広食べ歩きまち」で日本最高峰の「ガストロノミー文化」を世界へ発信!
十勝の立派な素材は「おいしい」と言われたがっている - 大切な自然の実りを、ていねいにつくり、ていねいに料理し、ていねいに食べる、クラフトフード運動!
「クラフトフード運動」の構想を掲げ2016年に帯広中心市街地で開業したHOTEL NUPKA。
建物1Fのカフェ&BARには、多くの地域生産者が集まり、地元食材を活かしたフードメニューの提供、更には十勝産大麦100%麦芽を材料とする「旅のはじまりのビール」を自身で開発販売してきました。
本年3月に開業8年を迎え、次のステージとして「食の大地十勝」x「クラフトフード運動」x「帯広食べ歩きまち」に基づく、まちづくりの取組み、ガストロノミー文化の発信に向けてより積極的に取り組んでいきます。
今回、新しいステージの取組みを一緒に行っていただける仲間を募集します。興味ある方は以下をクリック!