北海道――その広大な土地には日本が誇る観光地や豊かな食材が揃っており、なんと14年連続で「都道府県の魅力度ランキング」で1位に輝いています。しかしながら、魅力的な北海道には意外と知られていないデメリットも存在するのです。氷点下20度が当たり前の厳しい冬、果たして本当に移住をする価値があるのでしょうか?北海道の魅力とともに、移住を考える上での注意点にも触れつつ、真の北海道の姿を探ります。
旅行先として、または食材の産地としてなど、日常生活で「北海道」が話題に上がることはそう少なくないことではないでしょうか?
しかしながら、北海道在住の人や熱心な北海道フリークでない限りは、北海道について詳しく聞かれると、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
北海道といえば、まずはその広さ。その総面積はなんと83,424km²!
これは本州で言うと九州と四国を足したくらいに相当し、東京と大阪を余裕で内包できてしまうのです。その広さに裏打ちされた人口密度は1km²あたり234.7人と、都道府県中最も少なく、1位の東京都の9792.9人と比べるとそのすごさがわかるのではないでしょうか。
その土地の広さを生かし、北海道では農業をはじめとした、いわゆる第一次産業が非常に発達しており、北海道の食糧自給率は216%を誇ります。
そんな北海道は、観光地としての人気も根強く、ブランド総合研究所による「都道府県の魅力度ランキング」では、2022年現在、14年連続で1位に選ばれており、観光意欲度、産品購入意欲度でも1位、居住意欲度でも3位になるなど、各方面においても高い評価を得ています。
これだけ聞くと、魅力ばかりの土地に感じるかもしれませんが、北海道と言えばやはりその寒さ。雪の多い土地であることはもちろん、その広さゆえに困ることなどもたくさんあります。以下では、そんな北海道のデメリットについての様々な声も紹介しましょう。
北海道と言えばまず思いつくのは寒さですよね。函館や札幌などはまだしも、旭川や北見あたりまでいくと、冬は氷点下20度がざらで、酔いつぶれて帰宅する途中で凍死したなんてこわい話もあります。
けれども、そこで暮らすからにはみんなそれなりの装備を用意していますし、家の中はどこも万全の防寒設備がととのっています。むしろ、アウトドア好きの方ならそんな寒さまで楽しめてしまいますし、逆に考えればウインタースポーツがどこよりも長く楽しめるということで寒さも悪いことばかりではないのです。
確かに北海道は都会と比べれば「交通の便が悪い」ということになってしまいます。しかしそれは都会と比べたときの話。東京や大阪などと比べてしまえばだいたいの都道府県は交通の便が悪いということになります。
もっといえば、北海道もほかの地方と同様かそれ以上の車社会です。確かに大雪でバスや電車などが遅れるのは日常茶飯事ですが、逆に考えればみんなそれを考慮しているので、待ち合わせに遅れて困る、なんてことは意外とないかもしれません。
確かに北海道はほかの都道府県と比べても送料が高めなことが多いです。また、注文から届くまでかなりの時間がかかってしまうということも多々あります。
こればかりは確かにどうしようもないのですが、しかし現在ではAmazonプライム会員などに入っておけば、送料無料でネット注文ができることも多いですよね。そうしたサービスを中心に利用することで、比較的送料の高さは抑えられるかもしれません。
北海道の冬道での運転は、何十年経験しても、怖くなる瞬間があります。ホワイトアウトと呼ばれる、雪がひどいときには、目の前が真っ白になって何も見えないなんてこともあります。
しかし、そんなときは、ほかのみなさんも同じ条件ですから、みんなライトをつけて徐行していますし、北海道の道はそれを考慮して道幅がかなり広く、入り組んだ道路もほとんどないように、かなり運転しやすく作られています。
確かに雪かきは北海道に住んでいて一番大変なことかもしれません。特に、「置き雪」と呼ばれる、道路に積もった雪を重機(除雪車)が「かき分け除雪」をした際に、道路の両脇に残される固くて重い雪は、車を出すときなんかにどうしても除雪しなくてはなりません。
多めの雪が何日も降り続けるときには毎日この作業をしなければならないときもあるかもしれず、とても大変ですが、そんなときにはむしろジムに行かずとも筋トレできている、なんてポジティブに捉えてしまうのもいいかもしれません。
そんな北海道ですが、現代のような農業大国になるまでには、長い「開拓」の歴史があります。
北海道開拓の歴史は、1869年7月、政府によって「開拓使」が設けられ、北海道の本格的な開拓が着手されるところから始まります。
そこから、1882年2月、開拓使が廃止となり、札幌・函館・根室の三県が置かれます。その後、1886年1月、政府は三県一局を廃止し、「北海道庁」を設置します。そして、明治時代の半ばころから、北海道への移民が急激に増加し、開拓が著しく進展していきます。
1869年に約6万人に過ぎなかった北海道の人口は、北海道庁が設置された年には約30万人になりました。その後、急激に増加を続けて1901年には100万人を超え、開道50年にあたる1918年には217万人にまで達しました。
また、1886年に3万町歩(29,730㌶)にも満たなかった耕地面積も、1918年には約80万町歩(792,800㌶)に達しました。こうしてたくさんの人の努力によって、何もないところから徐々に徐々に耕地面積を増やしていったのです。
そして現在、北海道の人口は、約522万人(令和3(2021)1月1日時点)となっています。現在の北海道に至るまでには、長い苦難の歴史があったのです。
そんな北海道で、なんと3年連続で「住みやすさ」1位を獲得している都市があります。それが「帯広市」です。
帯広市は、昨年度、東洋経済新報社が独自に発表している「住みよさランキング2023」において、3年連続北海道内でNo.1を獲得する結果となりました。
というのもやはり、農業王国と名高い農業の盛んさもさることながら、実は農業をも上回る農業生産品を原料とした製造品出荷額の高さと安定性から、景気低迷にかかわらず安定した経済状況が大きな魅力となっているのです。
さらに、仕事は農業だけでなく、十勝の商店数は4000軒以上もあり、人口に対する件数は北海道でトップクラスとなっているなど、上述した食品の製造業も含め、農業だけでない働き口が多く見つかることが、転入の増加傾向や、住みよさの原因となっていると考えられます。
また、帯広は北海道内でも雪が少なく、冬の寒さもそこまで厳しくないことで有名です。さらには、まちの中心にはJR帯広駅があり、JRのみならず各種交通機関の要所が集中する、十勝地方の重要な交通結節点となっています。
極めつけには、羽田空港からの直通便のある「とかち帯広空港」があり、交通の便はばっちりとなっております。
そのほかにも、「十勝晴れ」とも形容される晴れやかな気候や、区画整備の行き通った市街地など、帯広市は非常に魅力的都市になっています。もしあなたがほんの少しでも北海道移住を考えているのならば、帯広市をその候補地として考えてみるのはいかがでしょうか。