今回の記事は「保育士の年収・給料【2024】について解説します。最近では食料品や電子機器、車や住宅あらゆるものが値上げとなり、消費者にとっては苦しい状況が続いています。ですが、日本商工会議所・東京商工会議所の発表によると、実は2024年度に6割以上の企業で賃上げされることが分かりました。
そこで気になるのは、「低賃金」というイメージを持たれやすい職種の年収や給料ですよね。たとえば、「忙しいのに給料が低い」と噂される保育士の年収や給料は、実際にどのくらいなのかご存じでしょうか。今回は、保育士の給料事情と、キャリアアップについて解説します。
令和4年度の保育士の平均年収は、月収とボーナスを合わせて約389万円です。月額の給料は26.4万円で、年間賞与(ボーナス)は71.2万円、年収は388.6万円でした。
国税庁が調査した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、全国の平均年収は458万円です。実際に、保育士の給料は平均年収より少ない結果となりました。
その背景には、女性の多い職場であることや福祉に関する国の予算が決まっていることなど、さまざまな要因が挙げられます。
平均年収と比べるとたしかに保育士の給料はやや低いといえますが、実は近年保育士の給料は右肩上がりに上昇しています。全国的に保育士が足りていないのに、共働きで保育園を利用したい家庭が増えている状況を受け、国からの補助が手厚くなっているのです。
ここ数年の保育士の給与、年収の推移を見てみましょう。
引用)賃金構造基本統計調査(令和2年~令和5年の調査結果より)
比べてみると、保育士の年収は大きく上がっていますね。近年でもっとも年収が低かったのは平成26年の310万円。約10年で年収は80万円ほど上がっている計算になります。
また、一般的な企業と同じく、保育士も長く働き続けるほど年収も上がりやすい職業です。年齢別で年収を比べてみると、その特徴がよく表れています。
引用)令和5年賃金構造基本統計調査
保育士の平均勤続年数は8.5年とされていますが、人手不足な状況もあり、比較的職場復帰しやすい職業といえます。
保育士は、弁護士や医者といったいわゆる高収入の職業とはいえません。ですが、長く働いて給料が上がったり、賃金面でもっと恵まれている職場を探したりと、収入アップに向けた働き方や転職はできます。
いま国が力を入れている子育て支援を進めるには、保育士が必要不可欠です。ですが、子育てのしやすさや保育園の利用数は地域によって異なります。東京のように大都市になるほど保育士の年収は高くなり、のどかな地域ほど年収は低くなる傾向があるのが実情です。
全国平均は、約389万円で北海道は約361万円でした。数字だけで見ると「北海道は給料が少ない」と感じてしまいますが、大きな都市では、そのぶん多くの生活費も高くなります。保育士の仕事を探すときは、年収だけを比べるのではなく、生活にかかるお金も含めて判断するのがおすすめです。
メディアでは「保育士不足」というワードをちらほら耳にしますが、本当に人手不足なのかを見比べてみましょう。有効求人倍数は、一般の職業全体で1.20倍に対して、保育士は2.92倍と場以上に高いんです。
ちなみに、有効求人2.92倍とは、1人の保育士に対して約3倍の求人があるということです。視点を変えると、「保育士の転職は、選択肢がたくさんある」とも言えます。
そして、保育士の求人を北海道だけに絞ってみても有効求人倍率は2.10倍と高い水準です。募集している求人が多いほど、給料が高めの職場を見つけられるチャンスも広がります。求人倍率の高さは、保育士にとってはむしろメリットが大きい状況といえるでしょう。
保育士が一定の経験を積むと、「保育士等キャリアアップ研修」を受けられるようになります。研修を終えると「職務分野別リーダー」「専門リーダー」「副主任保育士」などの役職に就き、処遇改善による手当がもらえるようになる制度です。かつては、役職といえば園長や主任だけでしたが、一般の保育士も段階的にキャリアを積めるようになりました。
処遇改善については、保育園全体で振り分けるケースもあるため手当の額はさまざまです。しかし、一度修了した研修は全国共通で有効となるため、妊娠や出産、引っ越しなどキャリアが途切れやすい女性にも大きなメリットがあります。キャリアアップ研修によって自分のスキルや知識を証明でき、転職しやすい環境になってきています。
仕事のやりがいはもちろん大切ですが、収入面も重視したいところです。すぐに収入を上げたい方、長期的に上げていきたい方、なりたい保育士像が決まっている方など、給料アップへの道筋は人それぞれ。具体的な方法を5つご紹介するので、チャレンジできそうなものがあるかチェックしてみてくださいね。
契約社員やパートで働いている場合、給料を上げる一番の近道は正社員になることです。
保護者や子どもからでは分かりませんが、保育園で働く職員には正社員や契約職員、パートタイマー、アルバイトなどさまざまな雇用形態があります。
保育園によっては「経験年数〇年以上」といった条件を満たすと、面接や試験を行い正社員に昇格できる制度を用意しています。これから就職活動する方は、「正社員登用制度あり」の求人を探してみましょう。面接時にキャリアアップについて聞いてみるのもおすすめです。
保育経験を重ねたり、キャリアアップ研修を受けたりすると、しだいに保育園内で役職を任せられるようになります。すべての保育園ではありませんが、場合によっては役職手当がもらえるようになるでしょう。
後輩に頼られることも増えて責任を持つ範囲も広がりますが、役職のポジションが働くモチベーションになります。収入が上がることで生活に余裕が生まれ、趣味やプライベートも楽しみやすくなるのもメリットです。
保育士は年間通してたくさんの求人があり、比較的転職しやすい職業です。もし、職場環境がよくなかったり、給料が少なかったりする場合は、転職も考えてみましょう。給料面では月額賃金のほかにボーナスや休暇制度、通勤や住宅手当などを確認しておくのがおすすめです。
キャリアアップに前向きな方は、保育士の育成や研修に積極的な保育施設を選んでください。なかには、はじめから役職候補を募集しているケースもあります。
また、給料以上に大事なのは「保育方針が自分に合っているかどうか」です。保育施設によって、保育に対する考え方や実際の活動がまったく異なります。自分の得意が活かせる職場や、なりたい保育士像に近づける職場かどうかをじっくり見極めましょう。
保育士が活躍できる職場は、保育現場だけではありません。児童養護施設や病院、商業施設、幼児教室など、子どもと関わる職場では保育経験を持つ人が求められているからです。
場合によっては、保育施設より高い給料で働ける可能性もあります。保育士の経験やスキルを活かして、次のキャリアを築きたい方におすすめです。
保育士以外の資格取得やスキルを身に付けると、キャリアアップや給料アップだけでなく、いま働いている職場ですぐに活かすことができます。保育士におすすめの資格は次のとおりです。
リズム感や表現力を磨くリトミックを指導するための専門知識を証明できる民間資格。保育園で活かせるほかに、さまざまな施設に出向く外部講師としても活躍できる。
絵本に関する高い知識、技能、感性を持っていると証明する資格で、保育園だけでなく学校や図書館、医療機関などいろいろな業界で活動している。
子どもが分かりやく、楽しみながら英語を学べるレッスンプランやスキルを持っていることを証明できる民間資格。英語を保育に取り入れている保育園は多く、就職活動のPRポイントになる。
医療を受けている子どもと家族が過ごしやすくなるような関わり、知識、保育スキルを持っていると証明できる。病院内保育園はもちろん、一般的な保育園でもサポートが必要な子どもへの関わりで役立つ資格。
幼稚園教諭免許 認定保育園で働くには、保育士と幼稚園教諭の資格が両方必要。(令和6年3月までは片方のみで働ける経過措置中)どちらかを持っていれば、特例制度で通常よりも低いハードルで資格や免許を取得できる。認定こども園へ就職の幅を広げたい方におすすめ。
給料が低いというイメージを持たれやすい保育士ですが、実は年収は右肩上がりでキャリアアップの体制も整っています。さらに給料アップを狙うなら、資格取得や転職などの選択肢も視野に入れてみましょう。保育士の求人は年間通して募集されているので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!