「豊かな自然にかこまれながら暮らしたい」、「都会の喧騒から離れて静かな暮らしをしたい」、そんな理由で、実は「田舎暮らし」をちょっと本気で考えてる人は結構多いのではないでしょうか。
しかし、同時に頭をよぎるのは、「仕事はどうしようか」という問題。昨今は、フルリモートでもOK!という仕事や職場が増えてきている一方で、多くの場合は転居先でできる、新しい仕事を探さなければならないという大きな壁が立ちはだかります。ただ、それならそれで、田舎で暮らすからには、せっかくなら何か新しいことや、その土地でしかできないような仕事をしたいという気持ちもあるのではないでしょうか。
そこでお勧めしたいのが「地域おこし協力隊」という仕事です。地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化が著しい地域に移住して地域の活性化を促すために生まれた制度です。自治体の非常勤職員という立ち位置で、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行うことで、その地域への定住・定着を図る取組みです。
隊員は各⾃治体の委嘱を受け、任期は概ね1年以上3年以下となります。平成21年度から制度が開始され、令和4年度には、6,447名もの隊員が全国で活動しています。任期中は、自治体・サポートデスク等による日々の相談、隊員向けの各種研修等様々なサポートを受けることができるほか、任期後は、起業希望者向けの補助制度もあります。協力隊としての活動でその地域での人脈や知識を得られることができますし、そこでの経験を生かすことで新たな道も開けることも期待できます。まさに、「田舎暮らしの登竜門」なのですね。
北海道内の地域おこし協力隊につきましては、初年度である平成21年度は、隊員数10名・取組団体数4団体でしたが、令和4年度には、隊員数943名・取組団体数157団体と、大幅に増えてきています。また、任期終了後も隊員の約73%もの人が、引き続き道内に定住しており、自ら起業して地域で仕事を創り出すなど、積極的に地域の活性化に貢献しています。チャレンジ精神を発揮する場として、広大な土地や、第一次産業の強い地盤を持つ北海道はぴったりの場所なんです。
いまの話を聞いて、「北海道で地域おこし協力隊をやること」に少しでも興味を持ってくれた方!ありがとうございます!
そんなあなたに、北海道の地域おこし協力隊の募集情報に探すのに使えるサイトについてご紹介いたします。
北海道庁が運営しているこちらのサイトからは、道内の募集情報を市町村別・分野別に検索することができる「ほっかいどう地域おこし協力隊ポータルサイト」や「JOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)」が運営しているサイトにとぶことができます。双方で掲載されている情報に違いがあるかもしれないので、両方とも見てみることをお勧めいたします。「JOIN」からは北海道以外の情報も見ることができるので、色々な都道府県の応募と比較することもできます。
また、2016年から2023年にかけての「北海道の地域おこし協力隊の導入状況」が確認でき、道内の各自治体の地域おこし協力隊の導入状態や、年齢構成、活動期間の割合など、詳しい情報が把握できます。
さらに、地域おこし協力隊に関する全ての相談を受け付けてくれている「ほっかいどう協力隊ワンストップ窓口」では、現地訪問や人材紹介などのサポートをしてくれます。
電話だと、平日の8:45-17:00までのあいだ受け付けており、WEBの問い合わせフォームからは24時間受付可能です。以上のほかに、北海道地域おこし協力隊が運営しているX、Facebook、Instagramなどの各SNSも見ることができるので、是非チェックしてみてください。
「北海道で地域おこし協力隊をやること」について、興味はあるけど具体的な想像ができないと不安…という方も、興味津々だけどもうちょっと詳しく知りたいな、という方も、地域おこし協力隊のイベントに行ってみるのはいかがでしょうか! 北海道地域おこし協力隊が公式でやっているこちらのサイトからは、イベントの情報を仕入れることができます。
実際に移住を体験することで、そこでの生活をダイレクトに知れる「移住体験ツアー」や、東京などの都心で実施される「地域おこし協力隊相談会」、地域おこし協力隊の「おためし・インターン」など、地域おこし協力隊の「実際」を知れるようなイベントがたくさんあり、あなたの知りたいことが隅々まで解決されること間違いなしです!
さて、ここからは実際に地域おこし協力隊の人々がどんな活躍をしているのかをご紹介いたします。
空知管内の栗山町では、行政と連携し、「合同会社オフィスくりおこ」を起業しました。「オフィスくりおこ」では、若者が働ける、集まれる、活躍できる場の提供を目的に掲げました。事業内容としては、栗山町の農産物、加工品の提供、販売を行い町の魅力を伝えるカフェバル「café&bar くりとくら」の立ち上げ、ゲストハウスの運営、栗山町からの委託で、ふるさと応援寄附業務を行っています。
宗谷管内の中頓別町の地域おこし協力隊OBの中野巧都さんは、地元の菓子店「とらや」を事業継承し、「中野商店」として再出発させました。中野さんは地域おこし協力隊2年目のときに、「とらや」が廃業になるという話を聞き、中頓別町に残り事業継承をする決意をしました。3年目の年に、店主から菓子作りを学び、地元の協力を得ながら店舗を改修、株式会社ナカノを立ち上げ、「とらや」を「中野商店」としてリニューアルオープンさせました。
この二つはほんの一部の事例で、そのほかにもたくさんの取組が「地域おこし協力隊」発でなされています(こちらから事例集が見られます)。地域おこし協力隊は、地方での起業や事業継承など、チャレンジングなことができるきっかけをつかむチャンスがたくさん転がっているお仕事なんですね。
ここまで、地域おこし協力隊のよさについて語らせていただきましたが、残念なのが、その任期が限られているということ…。地域おこし協力隊は、任期満了までに、どのような仕事をしてその地で暮らしていくのかを決めなくてはなりません。では、地域おこし協力隊を経た人々の「その後の人生」はどうなっているのでしょうか。
北海道札幌市出身の日向優さんは、地元の名門・北海道大学で薬学を専攻しました。大学卒業後は大阪の製薬会社に勤務・研究をしていましたが、30歳を超えて今後の生き方を考えていたとき、大阪で行われていた移住フェアで、北海道十勝・陸別町の担当者と出会いました。そこで陸別が「薬用植物」の試験栽培を、町を挙げて試みようとしていることを聞き、薬学部出身で、薬剤師の資格を持つ自分なら何か役に立てるのでは、と考えました。
地域おこし協力隊として働く中、定住するためにビジネスチャンスを伺っていた日向さんは、まずは陸別町がはじめた薬用植物の栽培からはじめます。薬学の経験はあれど、農業は未経験だった日向さんは、様々な人の力を借りながら、ゼロから勉強していき、少しずつ農業の技術を身に着けていきました。
転機になったのは、十勝・帯広に地域の事業創発を後押ししている、とかち財団と、同財団が運営するコワーキングスペース「LAND」の存在を知ったこと。そこで自らの起業プランをブラッシュアップしていき、令和2年度の「十勝人チャレンジ支援事業(現とかちビジネスチャレンジ補助金)」に応募し、見事採択されました。
現在、約20種類ほどの薬用植物・ハーブ類を栽培し、その中からいくつかピックアップ、ブレンドティーにして販売しています。また、最近は、新しく陸別産の薬用植物トウキ葉を使用したクラフトジン「北海道陸別町 天使のジン」を商品化。これからも陸別で薬用植物を用いたビジネスを展開していくことに熱意を注いでいます。
そのほかにも、大阪・東京で声優・ナレーターとして活躍してから、現在は芽室町で「NPO法人 Qucurcus(ククルクス)」の副代表理事として、地域のシティプロモーション・移住定住に関わる仕事に励んでいる八所かおりさん
上士幌町で、菅義偉元総理や鈴木知事も視察に来て話題となった「一般社団法人 ママのHOTステーション」を立ち上げ、地域の子育てを支援する事業を行っている倉嶋香菜子さんなど、
地域おこし協力隊を出発点に、現在も地域を元気にする事業に携わりながら生活している人がたくさんいらっしゃいます。そんな彼らに続くような熱意ある方、ぜひ北海道・十勝で「地域おこし協力隊」として、町おこしをフィールドに活躍してみるのはいかがでしょうか!
「十勝の地域おこし協力隊は100人以上いるのに、ネットワークはない。色々調べていくうちにこれはやっぱ必要だな」。着任早々のそう感じた池田町の地域おこし協力隊の鈴木龍太郎さん。着任して10ヶ月後の2023年2月に、十勝の地域おこし協力隊の人々が“ゆるく”つながれるようなネットワークを作りました。そんな“行動派”の鈴木さんが十勝・池田町にやってくるまでには壮絶な道のりがありました。
「観光事業者だけがもうかるのではなく、地域に還元し、みんながハッピーになれるように……」。2022年10月16日付の十勝毎日新聞電子版でこう自身の抱負を語ったのは、同月に帯広市地域おこし協力隊員に着任したばかりの工藤陽司さん。北海道が推進する観光施策の目玉「アドベンチャートラベル」の振興役として、十勝・帯広市を舞台に活躍しています。着任から約半年。今だから言える“Jターンのホンネ”を語ってもらいました。