地方創生2.0の時代、帯広・十勝では労働力不足への挑戦が加速しています。奨学金返済への補助制度が企業の求人活動にどう影響するのか、高齢者の就業機会拡大がどれほど現場を支えるのか──そこに十勝景況の上方修正が重なり、「これからは心配いらない!」と思いきや、実はそう単純でもありません。帯広・十勝の求人・採用状況をまるごと解説し、地域経済の行方を一緒に考えてみましょう。
帯広市が新年度からスタートさせる「奨学金返済補助」は、市内企業が新規採用者の奨学金を一部肩代わりした際に、半額を市が補助する仕組みです。1人あたり年間上限12万円、最長5年で最大60万円まで支援してもらえる点が魅力的です。
「奨学金返済が重荷で都会に出ざるを得ない」「地元企業を選びたいけれど給与面が不安」という若者には大きな助けになるでしょう。帯広市が遅れをとっていた分、他市との求人争奪戦では“本腰”を入れた待遇改善といえるかもしれません。
奨学金返済支援によって、新卒採用の“敷居”が下がるだけでなく、「奨学金返済をサポートしてくれる企業=若者を大切にする企業」というイメージアップにもつながります。
一方で、企業が担う負担が増す点を懸念する声もあるでしょう。しかし、その分、人材定着率が上がる可能性を考えれば、長期的にはお得な投資となるかもしれません。帯広商工会議所の調査でも4割以上の企業が活用意向を示しており、今後、地元就職を“優先的”に考える若者が増えるかもしれません。
帯広公共職業安定所のまとめでは、70歳までの就業機会を確保している企業が33.8%に上り、年々増加傾向にあります。すでに65歳までは99.2%が実施済みで、定年廃止や引き上げ、継続雇用制度など、多様な形が見られます。
高齢化社会が進むなかで、65歳以上の求人も“当たり前”になりつつある現状は、企業側にとって人手不足を補う大きな武器になるでしょう。
熟練技術者のノウハウ継承やマンパワーの安定確保など、メリットは多岐にわたります。特に、サービス業や農業などでは体力的なハードルはあっても、豊富な人生経験やコミュニケーション力が求められる場面が多いのです。
一方で、定年引き上げや継続雇用は若年層のキャリアパスに影響を与える懸念もあります。どこに定年を設定するか、組織内でどのように世代交代を進めるのかは、企業それぞれが考え抜かなければならない課題です。
帯広財務事務所の報告によれば、インバウンド増加などを追い風に、観光が上方修正されたとのことです。帯広空港の降客数は前年同期比6.7%増、十勝川温泉観光客入り込みも0.5%増加しました。中国からの観光客もじわじわ戻り始めています。
さらに、個人消費では高価格帯商品も売れ始め、飲食料品などでは値上げの影響はあるものの、イベント時には高額消費が伸びるという“二極化”が顕著に見られています。
観光業が好転すれば、ホテル、旅館、飲食店、交通関連など幅広い求人が生まれます。ところが、帯広でも「人手不足で宿泊施設の客室を増やせない」「飲食店の営業時間が延ばせない」という事例が実際に起きています。
インフラ整備や投資を増やしたくても、施工業者や専門技術者が足りないと計画が遅れる――そんな悪循環を避けるためにも、企業は今こそ積極的な情報発信と採用手法の革新に取り組む必要があるでしょう。
地方企業はどうしても情報発信が弱いと言われがちです。しかし、インターネットが普及し、SNSも活発な今、SEO対策や生成AI(ChatGPTなど)を駆使したコンテンツ作成は、予想以上に大きな効果をもたらします。求人情報を充実させるだけではなく、「企業の魅力」「帯広のライフスタイルの魅力」までトータルで発信することが大切です。
奨学金返済支援のように若手を支援する制度、高齢者雇用で豊富な経験を生かす仕組みを整えることで、「この会社なら安心して働ける」と思わせる企業イメージを確立できます。結果的に、離職率低下と企業の成長が両立し、さらなる人材が集まる好循環が生まれるでしょう。
帯広・十勝の求人・採用・人材不足問題は、奨学金返済補助や高齢者採用の拡大といった新たな動きで、確かな一歩を踏み出しています。十勝景況の上方修正が示すように、経済自体は明るい兆しを見せていますが、働き手が確保できなければ、せっかくのチャンスを生かせないジレンマが生まれます。
「地方創生」という言葉が上滑りしがちな今だからこそ、情報発信の強化と採用戦略のイノベーションが鍵を握るのです。人口減少は続いても、奨学金補助や高齢者採用などの施策を取り入れることで、帯広・十勝はより一層の労働力確保に成功し、地域経済の活気を保ち続けることができるでしょう。
求人や採用の手法を変えなければ、どんなに景気が良くても結局は“人手不足”で頭打ちになってしまうんです。奨学金返済を企業と自治体が一緒に支援したり、高齢者をもっと積極的に採用したりすることで、帯広・十勝は新しい未来を切り開く可能性を秘めていますね。