今回は、雇用保険の失業手当(基本手当)を受給中に「早く次の仕事が決まったら、もらえるお金があるらしいけど……?」と気になっている方向けに、“再就職手当”について丁寧にご紹介いたします。「受給条件は?」「計算方法は?」「いつ頃もらえるの?」といった疑問に答えながら、具体的な計算式や、申請の流れ、気をつけたい点などを順を追ってわかりやすくお話ししますね。
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雇用保険の「失業手当」は、正式には基本手当と呼ばれるもの。会社を辞めて「失業」状態になった人が所定の手続きを行うことで、4週間ごとに一定の金額を受給できる仕組みです。 一方、「再就職手当」は、早期に新しい仕事が決まった場合にまとめて支給される手当。一度にまとまった額が“お祝い金”のように受け取れる分、失業手当の所定給付日数が残っていることが条件となります。
新しい勤務先が見つかったら、基本的に入社日の前日までにハローワークへ届け出を行い、認定を受けます。その後、約1か月半~2か月ほど経過すると、指定した口座に一括で振り込まれる流れが一般的です。 入社前日までに支給された失業手当はしっかりもらえますが、それ以降は失業手当は打ち切りになり、再就職手当が一度に支給される形です。
早く仕事を見つけて再就職手当をもらうことで、失業状態を長引かせず、収入源が早期に復活します。再就職手当そのものも非課税で、用途は自由。新たな職場で必要な道具を買ったり、新生活の準備に充てたりと経済的な余裕を生みやすいです。
再就職手当は税金がかからず受け取れます。年末調整や確定申告で申告する必要がないので、「手取りが増えるから扶養はどうなるの?」と気になる方も多いと思いますが、税金の対象にはなりません。ただし社会保険の算定には含まれる場合があり、扶養家族としての条件に影響が出る可能性はあるので注意しましょう。
一度支給されると、仮にすぐ退職することになっても返金しなくて大丈夫です。ただし、“1年を超えて働く見込み”という要件があるため、すぐ辞めることを前提に申請するのはおすすめできません。
再就職すれば失業手当は打ち切りになるので、結果的に“雇用保険の基本手当を満額受給する”より少なくなる可能性があります。ただ、失業手当は上限額も決まっており、前職より大幅に収入が減るケースも。ブランクが長くなるより、早く転職してしまったほうがメリットが大きいこともあるでしょう。
「支給残日数が多いほど再就職手当もアップする」という仕組みのため、焦ってしまいがちです。失業期間を短くしたい気持ちはわかりますが、“再就職手当重視”で志望度の低い企業を選び、あとで後悔するケースにはご用心です。
もし再就職先を短期間で辞めてしまった場合、残りの失業手当をもう一度申請できる(所定の受給期間内なら)のですが、“再就職手当をもらったぶんの日数”が差し引かれることに。結果として、受け取れる失業手当が少なくなる点もデメリットです。
再就職手当を受け取るには、下記すべてを満たす必要があります。
たとえば「離職前の会社や関連企業に戻る」場合や、「1年を超える就業見込みがない」職場に就職する場合などは該当しません。
再就職手当の支給額 = 支給残日数 × 支給率 × 基本手当日額
6,000円 × 80日 × 70% = 336,000円
6,000円 × 40日 × 60% = 144,000円
支給残日数が多ければ多いほど、支給率も上がり、手当額が増えます。
雇用保険の受給中に新しい職場が決まったら、基本的には入社日の前日までにハローワークへ申請します。提出する書類はおもに下記です。
ハローワークで「給付残日数」などを確認したうえで受給資格があれば、「再就職手当支給申請書」が交付されます。これを事業主(再就職先)に記入してもらいましょう。「1年を超えて働く見込み」や「関連会社ではないこと」を証明する書類をお願いされる場合があります。
「再就職手当支給申請書」と「雇用保険受給資格者証」をそろえ、ハローワークに提出します。1カ月程度の審査期間を経て「再就職手当支給決定通知書」が届き、指定口座に振り込まれる流れです。なお、再就職日(入社日)の翌日から原則1か月以内に手続きを終えるのが基本となります。
本来の申請期限は就職日(入社日)の翌日から1か月以内です。ただ、期限を過ぎても就職日の翌日から2年間は受け付けてもらえる場合があります。しかし通常より支給が遅くなるうえ、他の給付との兼ね合いで不利になるケースも。なるべく早めに手続きしましょう。
まだ支給決定の連絡が来る前に退職したときは、一度ハローワークに相談を。再就職手当をもらわずに失業手当の日数を残したい場合、改めて“受給手続きを継続”して失業手当をもらうことも可能。反対に、そのまま再就職手当を受給する道もありますが、そのぶん所定給付日数が差し引かれます。
ハローワークや民間の職業紹介事業者を介さず、自分でネット検索や知人の紹介などで就職先を見つけた場合でも、待期期間後(自己都合なら1か月以降)の就職で所定の要件を満たすなら受給対象です。
再就職ではなく、フリーランスや起業した場合も所定の要件を満たせば受給可能です(会社都合退職なら待期7日満了後から、自己都合退職ならさらに1か月経過後などの条件あり)。ただし、支給残日数が3分の1以上あることは変わりませんし、あらかじめハローワークに相談しておくのが安心です。
再就職手当は、「失業手当をすべて受け取るよりも早く再就職したい」という方を応援するための仕組みです。金額がまとまっており、しかも非課税のため、新生活の資金にも大いに役立つでしょう。 とはいえ、焦って条件の合わない職場を選んでしまうと、すぐ退職してしまい手当日数の残りも少なくなるリスクがあります。失業期間をなるべく短くしつつ、自分に合った働き方を見つけることが大切ですね。
ご自身のキャリアプランや家計の状況に合わせ、「再就職手当をさくっと受給して転職」か、「じっくり探して失業手当を長めにもらう」か、じっくり検討してみてください。もし疑問点があれば、ハローワークに遠慮なく質問しましょう。皆さまの再就職が、より良い形でスムーズに実現するよう願っています。