失業手当(失業保険)とは?
失業手当(失業保険)は、正式には「基本手当」という名称ですが、求職中の方が安定した生活を送りながら一日でも早く再就職できるようにサポートするための公的制度です。会社を辞めたあと、一時的に収入が途絶えてしまう不安を軽くしてくれる心強い仕組みなんですよ。
受給に必要な3つの条件
- 雇用保険に加入し、保険料を支払っていたこと
- 離職日の前2年間(※1)に12カ月以上の雇用保険被保険者期間があること
※自己都合以外(会社都合等)の離職の場合は、1年間に6カ月以上でOK - 就労の意思と能力があり、求職活動を行っていること
(※1) 「雇用保険の被保険者期間」は、1カ月ごとに区切った期間のうち「賃金支払いの基礎となる日数が11日以上」または「労働時間80時間以上」の月を1カ月と数えます。
失業手当を受給できるイメージ
- 退職後
→ ハローワークへ求職申し込み&離職票提出 → 受給資格決定日(ここから7日間は“待期期間”) → 一定の制限を経て手当支給開始
- 退職理由(自己都合・会社都合)や年齢、被保険者期間によって給付の開始時期や日数が変わります。
失業手当を受け取れる条件とは?
“失業の状態”とは?
そもそも雇用保険では、求職者が「就職しようとする積極的な意思と、いつでも働ける能力があるのに仕事に就けない状態」のことを「失業の状態」と定義しています。
- したがって、「退職後すぐ次の職場が決まっている」「ケガや病気で当面働けない」などの場合は、失業手当をもらえません。
「自己都合退職」と「会社都合退職」
失業手当をもらう際は、離職理由が大切なポイントになります。大きく分けて下記のパターンがあります。
- 【自己都合退職】一般の離職者
例)前向きな転職、独立、定年、契約満了など
離職日の前2年間に、通算12カ月以上の被保険者期間があれば受給可能 - 【自己都合退職】特定理由離職者
例)家庭事情の急変、育児・介護、通勤困難、希望したのに有期契約が更新されなかった等
離職日の前1年間に、通算6カ月以上の被保険者期間があれば受給可能 - 【会社都合退職】特定受給資格者
例)解雇、倒産、やむを得ない理由での雇止めなど
離職日の前1年間に、通算6カ月以上の被保険者期間があれば受給可能
離職理由が異なると、給付開始までの“給付制限”の有無も変わります。自己都合退職だと待期7日+2〜3か月の制限がかかることを忘れないようにしましょう。
失業手当はいつからいつまでもらえるの?
待期期間と給付制限
ハローワークで失業手当の手続きを行うと、最初に7日間の「待期期間」が設けられます。この間はどんな離職理由でも手当は支給されません。
- 会社都合退職(特定受給資格者)や特定理由離職者
待期期間(7日間)終了後、すぐに支給開始 - 自己都合退職(一般の離職者)
待期期間(7日間)+2〜3か月の“給付制限”が終わったあとに支給開始
もらえる期間=「所定給付日数」
失業手当は最大で「離職日の翌日から1年間」の受給期間内に支給を受けることができます。ただし、実際にもらえる日数(所定給付日数)は、下記のように被保険者期間や年齢、離職理由によって変わります。
※上記表は概要です。詳細は厚生労働省やハローワークへお問い合わせください。
【2025年4月1日改正】最短7日!自己都合退職でも失業保険がすぐもらえる
「給付制限」ですが、2025年4月からは制限期間が「2ヶ月」から「1ヶ月」に変更されることになりました。この変更によって、今までより早期に失業給付を受けられるようになるため、自己都合退職者が安心して再就職先を探すことができる環境が整うでしょう。そしてそして、教育訓練を受講すると7日間の待機期間のみで受給できるんです。
詳しくは以下の記事を読んでね。
【2025年4月1日から】最短7日!自己都合退職でも失業保険がすぐに! | 帯広 十勝の求人・移住なら【TCRU】北海道生活に役立つ情報
2025年4月1日から、自己都合退職でも失業手当(雇用保険の基本手当)が素早く受給できるようになりました。これまでのルールより給付制限が大幅に短縮されるのです。制限期間が“1か月”に短縮され、教育訓練を受講す...
https://tcru.jp/articles/7day-jobless
受け取れる失業手当の金額:計算方法とシミュレーション
失業手当の1日あたりの受給額を「基本手当日額」と呼びます。以下の式で計算されます。
【基本手当日額】=【賃金日額(※)】×【給付率(50%~80%)】
- 賃金日額:退職前6カ月の賃金合計を180(6カ月×30日)で割った金額
- 給付率:賃金日額が高いほど給付率が下がり、低いほど給付率が上がる仕組み(年齢別の上限・下限あり)
そのため、「給付日数」×「基本手当日額」が、最終的に受け取る合計額のイメージとなります。
参考:賃金日額・基本手当日額の上限(2024年8月1日時点)
- 29歳以下:
賃金日額上限 13,890円 → 基本手当日額上限 6,945円 - 30〜44歳:
賃金日額上限 15,430円 → 基本手当日額上限 7,715円 - 45〜59歳:
賃金日額上限 16,980円 → 基本手当日額上限 8,490円 - 60〜64歳:
賃金日額上限 16,210円 → 基本手当日額上限 7,294円
シミュレーション例
- 例1)28歳、月給28万円、6年勤めて会社都合退職
賃金日額=28万円×6か月÷180≒9,333円
基本手当日額 ≒ 9,333円×給付率(50~80%)≒5,884円
所定給付日数120日 → 合計約120日×5,884円= 約70.6万円
待期期間(7日間)後すぐに支給開始。 - 例2)同条件で自己都合退職
給付日数90日に短縮 → 約53万円
待期7日+2〜3か月の給付制限あり
実際の計算はもう少し複雑なので、厳密にはハローワークへ確認を。
失業手当をもらう5ステップ:手続きの流れと必要書類
STEP1:必要書類をそろえる
- 離職票1、2(会社から受け取る)
- マイナンバーカード(またはマイナンバー確認&身元確認書類)
- 証明写真(3cm×2.4cm)2枚
- 通帳またはキャッシュカード(本人名義)
- そのほか船員であった方や各種手帳をお持ちの方は該当書類
STEP2:ハローワークで手続きを行う
- 求職申し込み&離職票の提出
- ここで「受給資格決定」が行われ、同時に雇用保険説明会の日程なども案内されます。
STEP3:雇用保険説明会に参加
- 所定の日時に説明会へ参加して詳しい受給方法を確認します。ここで次回失業認定日が決定。
STEP4:失業認定日にハローワークへ
- 4週間に1回(原則)行われる失業認定日に**「失業認定申告書」**を提出。
- このとき求職活動実績が必要になるので忘れずに。
STEP5:失業手当を受給
- 失業認定日から約5営業日後、指定口座に初回分が振り込まれます。
- 給付制限がある場合は、待期7日後+2〜3か月後の認定日から支給開始。
失業手当受給中のアルバイトはOK?
- 待期期間中(最初の7日間)は原則NG
ここに働いてしまうと受給開始が遅れるなどの影響が出る可能性があります。 - 週20時間以上働くと雇用保険に加入する恐れ
その場合、“失業していない”とみなされ失業手当を受け取れません。 - アルバイトが発生した日は必ず申告
申告をせずに不正に受給すると、返還命令や大きなペナルティの対象になります。
早期再就職で「再就職手当」がもらえる?
もし失業手当の給付期間中に、新しい仕事が見つかったら、以下の要件を満たせば「再就職手当」というお祝い金がもらえます。
再就職手当の主な8つの要件
- 給付残日数が所定給付日数の3分の1以上
- 7日間の待期期間満了後の再就職
- 1年以上勤務する見込み
- 前職と関連のない会社
- 自己都合退職で給付制限がある人は、待期期間満了後1か月以内の就職は、ハローワーク等の紹介によるもの
- 過去3年以内に再就職手当を受給していない
- 受給資格決定前に内定していた会社ではない
- 雇用保険の被保険者となる安定した就職
再就職手当の金額
- 給付残日数が所定給付日数の3分の2以上 → 基本手当日額×残日数×70%
- 給付残日数が3分の1以上 → 基本手当日額×残日数×60%
※再就職手当の詳しい情報は以下の記事を読んでね!
再就職手当のもらい方、計算方法(条件など)・いつもらえるかを解説 | 帯広 十勝の求人・移住なら【TCRU】北海道生活に役立つ情報
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失業手当受給中の健康保険・年金はどうする?
離職後も健康保険・年金は支払いが続きます。下記のいずれかの方法を選びましょう。
- 任意継続保険:
退職前の健康保険組合をそのまま2年間続ける。会社負担分がなくなるため、全額自己負担。 - 国民健康保険に加入:
退職後は市町村で手続きを行う。家計により減免される場合も。 - 配偶者の扶養に入る:
失業手当は収入扱いとなる場合があるため、扶養の収入制限に注意。
年金(国民年金)の支払いも必要です。一定の条件で減免制度があるため、市区町村へ相談してください。
失業手当に関するQ&A
Q1. 失業手当は手続き後どのくらいで振り込まれる?
- 会社都合・特定理由離職者:離職票等を出した後、7日間の待期期間終了後すぐに支給が始まり、初回振り込みは約1か月後が目安。
- 自己都合退職:7日間の待期+2〜3か月の給付制限終了後に支給が始まり、振り込みはそこから約1か月後。
Q2. 失業手当受給中に転職が決まったらどうする?
ハローワークに「就職の申告」を行い、入社日の前日までに最終認定を受けます。これを行わないと不正受給になる可能性があるので要注意です。
Q3. 不正受給がバレたらどうなる?
不正受給には厳しい罰則があり、返還命令や追加徴収(2倍相当の納付命令)、刑事告訴といった措置が取られることがあります。決して避けられません。
失業手当についてのまとめ
失業手当(失業保険)は、離職後の生活を支える公的制度。
- 「いつからもらえるのか?」 → 退職理由で待期期間や給付制限が異なる
- 「どれくらいもらえるのか?」 → 賃金日額×給付率×給付日数で計算
- 「どんな手続きが必要か?」 → 雇用保険被保険者離職票など必要書類を用意し、ハローワークで手続き → 説明会・失業認定
退職する前に、どのような流れになるかをざっくりイメージしておくと安心です。受給中はアルバイトや副業ルールにも気をつければ、再就職先をじっくり選ぶゆとりが生まれます。また、早めに転職が決まった場合は、再就職手当を受け取れるチャンスも。
焦って退職後に手続きを進めて「いつのまにか申請が遅れて、満額もらえなかった…」なんてことのないように、書類や必要条件を把握してスムーズに進めていきましょう。心配なときは遠慮せず、ハローワークで相談してみてくださいね。
失業手当を活用して、次のステップへ踏み出す準備を落ち着いて行いましょう。皆さんの転職や再就職が、より望ましい形で成功するよう願っています。
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