【元気の里とかち】わたしの看護観を変えてくれ
たのは“利用者さんの日常”

Nov. 30
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「利用者さんの日常生活に寄り添う訪問看護を通じて、看護師としての自分自身を見直すようになりました」と語るのは看護師の堀千香子さん。いったい、どのような気づきを得たのでしょうか。また、「社会福祉法人 元気の里とかち」では職場の管理者としての顔も持ちますが、その矜持とは。

「社会福祉法人 元気の里とかち」について

「地域に根ざした福祉を創るために」をコンセプトに、帯広市・音更町・更別村と連携を図り福祉事業を展開。高齢者や認知症患者のためのグループホーム、多機能ホーム、地域密着型介護老人福祉施設、小規模多機能型居宅介護事務所、サービス付高齢者向け住宅などを開設する。そのひとつが、帯広市内の自然に恵まれた環境にある複合施設「奏〜かなで〜」。

社会福祉法人 元気の里とかち - TCRU
十勝管内で活動する「元気の里とかち」 2011年『社会福祉法人元気の里とかち』設立。 私達は「地域に根ざした福祉を創るために」を団体のテーマに ひとりひとりに寄り添い 本来の力を引き出す柔軟なスタイルで...
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自ら閉ざした医療従事者の道。介護を通じて別の視点から向き合えた

高校卒業後、のどかな地元・帯広市を離れて中部地方の大きな都市にある専門学校へ進学。准看護師になるべく勉学に励んだものの、街や学校生活に馴染めずホームシックに陥ってしまったという堀さん。当時のことを「若かったし、経験が足りなかった」と振り返ります。

「看護の実習がとても辛くて、看護師になる自信がなくなってしまったんです。そこに輪をかけてホームシックが重なって……。二十歳で帯広に帰ってきました。帰郷後は、就職を考えつつも1年ほどふらふらしながら過ごす日々。きっと、何に対しても目標が持てなかったんでしょうね。最終的には聴覚障がい者のための施設で働くことに。その配属先の老人ホームで『あ、この仕事は自分に合っているかもしれない』と思うようになったんです」(堀さん)

翌年、重度身体障がい者向けの施設ができることになり、そちらでの経験がさらに確信につながったのだとか。

「施設にいるお年寄りの方々と接するなかで、『お年寄りって可愛いな』と思えるようになったんです。それまでは特別にお年寄りが好きだとは思っていなかったのですが、100のケアをすれば100の気持ちでストレートに返してくれる純粋さのようなものを感じ、そのやり取りが私の励みになりました」

看護師資格への再挑戦。「支えてくれた職場の仲間と家族のおかげです」

その後、ご主人の転勤や引っ越しなど家庭の事情で一旦は離職。その後、子育てを優先しながら外来の病院で働き始めるようになり、実務経験を積むなかで再び看護師への想いが浮上してきたといいます。

「30代に入ってから、働きながらもう一度専門学校に通い始めたんですよ。子育てと仕事、そこに勉強が加わるんですからそりゃあもう大変ですよ(笑)。時間がいくらあっても足りないし、メンタルが崩壊しかけたこともありました。職場の同僚や先輩たちがとっても協力的だったんです。周りのサポートがなければ資格取得なんて諦めていたかもしれません。私も同じ道を志す職場の仲間には寛容でありたいと思っています

訪問看護との出合い。利用者と家族の双方に寄り添うヒューマンサービスを実感

資格を取得してからは訪問看護や外来での仕事を経験し、看護師としてのキャリアを蓄積。自身の経験を生かしたサポートができ、やりがいを感じられることが増えていきます。

「訪問看護では利用者さんのお宅に伺って、必要な医療処置や健康チェックを行います。こうした利用者さんのケアが中心ですが、私たちにとっては利用者さんのお世話をするご家族のサポートも同じくらい大事なんです。家族が介護に行き詰まっていないか、どうしたら少しでもストレスを和らげるかなど、多面的に関われるのがこの仕事の魅力であり、大きなやりがいでした。利用者さんやご家族と信頼関係を築くことが訪問看護の第一歩です」

管理職への転身。そこに待ち受けていたのはコロナ禍での葛藤だった

現場での経験を重ねて「社会福祉法人 元気の里とかち」に入職。ほどなくそのリーダーシップや温かな人柄が評価され、職場での管理職のオファーを受けます。堀さん自身は戸惑いを感じていたものの周囲の支えによって、次第に管理者としての役割を果たせるようになり、数年後、新型コロナウイルスによるパンデミックが襲来……。感染リスクの高い高齢者を擁する「小規模多機能型」にとっても大きな試練となりました。

「どこの施設も苦労されたと思いますが……。まずは感染対策と危機管理を徹底したうえで、そこに何より欠かせないのがチームワークでした。それでもクラスターの発生は防げませんでしたが、できるかぎり利用者さんに孤独や負担を感じさせないよう面会を制限しつつも工夫しながら、なんとか全員で乗り越えることができました。おかげで職場の絆は強まったんじゃないかな」

本当に働きやすい職場とは? 個々が尊重される居場所であるために

スタッフの誰もが働きやすい環境を作ることが私の目標です。それにはプライベートも大事にして、仕事と日常生活のバランスを取ることが重要だと考えます。プライベートな理由で休みをとるのも問題なし! 私自身も今年の夏は野球全国大会に出場する息子を応援するため、家族全員で遠征してきました。持ちつ持たれつの精神でみんなにも休みを取ることに躊躇しないでほしい。スタッフは、それぞれ事情があるのでチーム全体でカバーし合えればそれでいいんです」

プライベートがうまくいっていると、仕事にもいい影響を与える”と強調する堀さん。どんな人材もどーんと大きな心で受け入れてくれそうな、人情味あふれる職場のよきムードメーカーです。

プロフィール

堀千香子 看護師・管理者
小規模多機能型居宅介護事業所奏~かなで~

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