「人の役に立つ仕事がしたい」
学生時代からそんな想いを自然と抱いてきたと、タカギヒデヒロさんは穏やかに語ります。介護職として経験を重ねるなかで、その気持ちはさらに深まり、「もっと利用者さんに喜んでもらいたい」という信念へと育まれていきました。
今、そのまっすぐな気持ちは、自由であたたかな風土を持つ職場「元気の里とかち」の中で、着実にかたちとなり始めています。
「地域に根ざした福祉を創るために」をコンセプトに、帯広市・音更町・更別村と連携を図り福祉事業を展開。高齢者や認知症患者のためのグループホーム、多機能ホーム、地域密着型介護老人福祉施設、小規模多機能型居宅介護事務所、サービス付高齢者向け住宅などを開設する。
髙木秀広さん
札幌の専門学校を卒業後、音更町の高齢者施設で約10年介護職を務め、その後は生活相談員も経験。2025年元気の里とかち入職。現在は「元気の里とかち」に勤務し、小規模多機能型居宅介護施設「清流の里」でケアマネジャーとして活躍中。高校時代には野球部で外野手として、仲間と汗を流した過去を持つ。
「自分ではあまり覚えていないのですが、高校時代の友人から『人の役に立つ仕事に就きたいって熱心に話していたよ』と言われたことがありました。たしかに、いつも自分のことよりも誰かのために何かしてあげたいという気持ちは、どこかにあった気がします」
人が喜んだり、楽しんだりする姿を見ることが、自分の喜びにつながる。その感覚に素直に従い、タカギさんは介護の道を選びました。
「元気の里とかち」へ入職したきっかけは、知人の紹介でした。初めて施設を見学したときの印象について、タカギさんはこう振り返ります。
「いい意味で“こぢんまり”としていて、空気がやわらかかったんです。これまで勤めてきたような大規模な施設とは違って、利用者一人ひとりとの距離が近い。そのぶん、自分のやりたいことを実現できそうな自由さを感じました」
以前の環境では、利用者全員に平等なサービスを提供することが大前提。日々の介護からイベントまでスケジュールに忠実に進めることを求められていました。柔軟な対応は難しく、自由度は限られていたといいます。
しかし「元気の里とかち」では、状況に応じた判断や行動が尊重される風土があります。
「動物園に行ったときに、予定していた乗り物には乗らず、近くのアイス屋さんに立ち寄ったことがありました。すごく暑い日だったので」と、タカギさんは笑顔で語ってくれました。
その時々で、より喜んでもらえるケアを自分で選べる”余白”があること。それがタカギさんにとって、大きなやりがいにつながっているようです。
現在、ケアマネジャーとして働くタカギさんは、ケアプランの作成や提案、ご家族との調整、行政とのやりとりなどを担当しています。介護の実務は他の職員に託しながら、利用者の暮らしを少し離れたところから支える立場です。
「他の職員から『利用者さんが困っている』と報告を受けたら、何ができるかを一緒に考える。直接、私が手を動かす場面は少ないけれど、間接的にできることはたくさんあると思っています」
タカギさんが現在所属しているのは、小規模多機能型居宅介護施設「清流の里」。かつて勤めていた入所型施設とは異なり、在宅支援を中心とした通所型のサービスを提供しています。その環境の変化が、新たな学びをもたらしてくれたといいます。
「通所型の施設では、夜間の様子やご家族との関係など、利用者さんの生活に目の届かない時間が長くなります。だからこそ、ケアプランを立てるうえでは想像力と知識の両方が求められる。今は毎日が勉強の連続ですね」
長年、介護の現場で積み重ねてきた経験に、新しい刺激が加わった今。変化に向き合いながら、タカギさんは、自身の成長を実感しているようです。
タカギさんが仕事で大切にしているのは、「自分自身が楽しむこと」だといいます。
「利用者さんとの何気ない会話の中で昔の言葉や方言がポロッと出てきて。『それ、どういう意味?』って聞いてみたり。浜言葉なんかは、内陸で暮らしてきた私にとって未知の言語で(笑)。その意味を教えてもらう時間は、ちょっとした異文化交流のようで、とても面白いですね」
好奇心を交えながら、楽しんで関わること。それが結果として、相手に安心感をもたらし、心の距離を少しずつ近づけてくれる。そんな感覚を、タカギさんは日々の中で大切にしています。
そして、そんなふうに“自分らしく働ける”環境こそが「元気の里とかち」の持つ、大きな魅力。心に余裕が生まれるからこそ、利用者とも自然体で向き合うことができるのです。
「将来的に経営に携わる立場も目指していきたいと思えるようになりました」と、あくまで穏やかに、それでいて力強く話してくれるタカギさん。
挑戦する心が芽生えたのは「元気の里とかち」で働き始めてからとのことでした。わずか4ヶ月での大きな心境の変化。その理由を尋ねると、こう返ってきます。
「すでに経営に関わっている先輩たちが、とても楽しそうに働いているんです。その姿が魅力的で……『自分も挑戦してみたい』って、自然に思えるようになったんですよね」
今は目標に向けて、社会福祉士の資格取得を目指し、勉強に励んでいる最中。難関とされる国家資格に果敢に挑戦する姿勢からも、タカギさんの揺るぎない意志が感じられます。
最後に、「元気の里とかち」でこれから働くかもしれない仲間に向けて、こんなメッセージも残してくれました。
「ここは少人数だからこそ、利用者さん一人ひとりのニーズに向き合える環境です。『もっと喜んでもらいたい』という想いの強い人なら、きっとやりがいを感じてもらえると思います」
誰かを支えながら、自分らしく働くこと。その喜びを実感できる場所が、ここにはある。タカギさんの言葉の端々から、職場への深い愛着と、未来を前向きに歓迎する気持ちが伝わってきました。
社会福祉法人 元気の里とかち
住所:〒080-0871 北海道帯広市清流東4丁目4番地10
電話:0155-66-6230(9:00~18:00)
URL:https://genkinosatotokachi.jp/
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