2024年(令和6年)は企業倒産が11年ぶりに1万件を突破し、さらに「休廃業・解散」企業も6.26万件と過去最多を更新。物価高や人材不足によるコスト上昇、コロナ禍の支援終了などの影響が一挙に押し寄せ、企業の体力を削った格好だ。特に代表者の高齢化と後継者不足は深刻な課題であり、日本の産業構造全体を揺るがしかねない状況に……。2024年の倒産・廃業動向を振り返りつつ、北海道十勝をはじめとする農業や地域経済への影響、今後必要となる事業承継や人材採用戦略の重要性を考察します。
東京商工リサーチによると、2024年の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は1万6件(前年比15.1%増)となり、2013年以来11年ぶりに1万件を突破したそうです。コロナ禍以降の資金繰り支援が一段落し、過剰債務を抱えたままコスト高に耐えかねて経営を断念した企業が急増したことが背景にあります。
円安傾向が続き燃料費や資材価格が上昇、人手不足や最低賃金引き上げによる人件費アップなど、経営環境は厳しいま。特に中小企業ではコスト転嫁が進まず、収益の圧迫が解消されにくい。業種別ではサービス業、建設業、運輸業など幅広い分野で倒産が増え、中堅企業も含めた再編の波が押し寄せているそう。
地区別では、2年連続で全国9地区すべてで前年を上回り、北海道は280件(前年比4.0%増)と増勢が続きます。地元企業の体力低下に加え、観光需要の回復が思うように進まなかったり、人手不足を補うためのコスト増が経営を圧迫したりしているのが主な要因。
十勝管内に注目すると、2024年の倒産件数は前年比43.5%減の13件と大きく減少した一方、負債総額は同37%増の51億3,400万円となり、過去10年で最多を記録しました。
5月に肉用牛生産牧場や百貨店運営会社の特別清算など、10億円を超える大型倒産が複数発生したため、負債総額ベースでは高水準に。いずれの事例も事業譲渡などで地域経済への直接的な混乱は限定的とみられているが、コロナ禍の「ゼロゼロ融資」返済が本格化する今後、事業の継続を断念する企業はさらに増える可能性もあるとのこと。
同年は農業分野の倒産も過去最多の87件に上った。燃料高や飼料・肥料の値上がりに加え、コロナ禍以降の需要減、畜産業での伝染病リスクなど、多方面からの逆風が続く。特にきのこ生産企業の倒産が高止まりしており、設備投資負担や燃料費高騰が一気に経営を圧迫している様子。大学発ベンチャーで食用コオロギを手掛けていた企業や人工光型野菜プラントを運営する企業など、先端技術に挑戦する農業関連ベンチャーの破綻も散見されます。
御存知の通り、北海道十勝は、広大な農地と畜産を中心に日本を支える食料生産基地として重要な役割を果たしています。十勝管内の2024年倒産統計では、畜産や関連サービス業などへの影響が顕在化しており、今後も原材料や燃料費の高止まり、人件費上昇などが続けば、生産者の経営体力をじわじわと奪う懸念があります。
また、十勝以外の道内各地でも高齢化や後継者不在の問題は深刻で、採算割れが続いた結果、廃業や倒産を検討せざるを得ないケースが相次いでいるとか。
倒産の増加とともに注目すべきは、休廃業・解散の件数が6万2,695件(前年比25.9%増)と初めて6万件を突破し、過去最多を更新したことです。倒産件数と合わせると、2024年には7万2,700件以上の企業が市場から退出する見込みとなるそうで、事業創出が急がれますね。背景には、コロナ禍支援の終了による事業再考が促されたほか、代表者の高齢化が一気に進んでいる現状があり、事業承継を急がねばまりません。
業歴50年以上の廃業率が過去最高の13.0%となり、長年地域を支え続けてきた老舗企業ほど跡継ぎが見つからず、採算性や将来性に不安を抱えています。赤字廃業率が48.5%と過去最悪を記録していることからも、体力を失ったまま積極投資を断念せざるを得ない経営者が多いと推察されます。
コロナ禍を境に、事業継続の難しさが際立つ。特に地域の中小企業や農業生産者が抱えるのは、代表者の高齢化と後継者不在の問題です。今まではどこかで事業譲渡やM&Aが成立することもあったが、人口減少と若い世代の都市流出によって買い手候補が見つからないケースが急増しているそうです。
さらに、労働人口不足が深刻さを増す中、最低賃金の上昇が企業の財務を圧迫し、思うように人材確保ができない。こうした社会構造の変化が「余力のあるうちに廃業する」という選択を増やしており、廃業ドミノは今後も続く恐れが強い。
まあ、大手企業では廃業どこ吹く風と、新卒給与の大幅引き上げが続いていますが、中小零細企業では、まったく逆の動きなんですね。中小企業は、日本の全企業数のうち99.7%を占めていることもお忘れなく!
このままでは、地域経済の空洞化は避けられません。農業分野でも地域の食の基盤を守るためには、若い世代への技能継承や新技術導入が欠かせない。サービス業や製造業を含め、広範囲にわたる産業で事業承継に本腰を入れる必要があるんです。
M&Aや後継者育成の支援を拡充し、地域での経営ノウハウ共有を強化することが急務でしょう。特に自治体や金融機関、専門家が連携し、コロナ後に苦しむ企業とのマッチングを細やかに行う体制づくりが求められます。事業引き継ぎ時の税制優遇など、公的制度の活用もさらなる周知が必要なんです。
人手不足がより深刻化する中、企業が安易に人材紹介会社へ“丸投げ”するのではなく、自社内で採用担当者の重要性を高める動きがポイントとなると言われています。
こうした取り組みは企業文化の魅力発信にもつながり、結果として持続的成長に寄与するはずです。
道内有数の農畜産地帯である十勝では、倒産件数こそ減少したものの、高齢化や人材不足の波は他の地域と変わらず、将来的な廃業増加も懸念されています。
広大な農地を活かした6次産業化や観光と連動した地域ブランドの育成など、新たな可能性も確実に存在します。コロナ後のインバウンド需要復活や道産食材の付加価値向上策が成長のカギとなるでしょう。そのためには、企業の継続力を高めるための事業承継支援とともに、地元で働きたい若年層を惹きつける魅力ある採用戦略が欠かせません。
2024年は企業倒産が1万件を超え、「休廃業・解散」も過去最多を更新しました。農業を含め、あらゆる産業が価格高騰・人手不足・コロナ禍後の支援打ち切りといった課題に直面し、後継者不足と経営者の高齢化が深刻な影を落としています。北海道十勝の例でも見られるように、大型倒産が地域経済に大きな波紋を広げる一方で、実際には多くの企業が将来性への不安から“静かに”廃業している実態があるんです。
こうした現状を乗り越える鍵は、事業承継のさらなる加速と人材採用戦略の本気度にあります。後継者育成やM&Aなどに取り組む企業への支援を強化し、採用活動を経営戦略の中核と位置づけることで、企業は魅力を再発見・再発信できるんです。日本の経済と地域社会の活力を維持するためにも、経営者や支援機関、地域コミュニティが連携し、新しいモデルを作り上げていく必要があるでしょう。
人口減少とともに訪れる“廃業ドミノ”を食い止めるには、一社一社が「未来に向けて」舵を切る覚悟を持つことが求められます。試練の先には必ずチャンスもある!衰退と諦めを選ぶのか、それとも事業を次の世代へ繋ぐイノベーションを起こすのか──その選択は、今まさに各企業と地域に委ねられているんです。
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