タクシーやバスの運転手が不足している問題を受け、国土交通省が、外国人も運転手として働けるよう在留資格の「特定技能」に「自動車運送業」の追加を検討していることが注目されています。あとは “言葉の壁”の問題をどうするか?もちろん、日本人採用も大募集中です。子どもの頃、バス運転手に憧れていたという方もいると思います。そして、今はちがう仕事をしているけど、いずれは憧れていたバス運転手になりたい、という方もいるかもしれません。実は、バス運転手にないたい人は、今がチャンス!
実際、収入はどのくらいなのか、求人はどのくらいあるのか。そもそも、バス運転手になるのには、どんな資格がいるのでしょうか。なり手不足や離職者も少なくないと言われ、人手不足が続いているともいわれる、バス運転手について解説していきます。
バス運転手の平均年収は、2021(令和3)年度に厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査」によると、約403.9万円。平均月給は約33.7万円、賞与(ボーナス)は約62万円。
同じく賃金構造基本統計調査によると、日本における一般的なサラリーマンの年収は約438万円なので、バス運転手の平均年収はそれより少し低いといえるでしょう。ただし、
他の多くの業種と同様、規模の大きい会社や勤続年数が増えることで、収入が上がることもあります。また、従業員寮があるなど、福利厚生面が充実している会社もあるので、勤務先次第で高い収入が望めるかもしれません。その意味で、収入面のチェックはとても重要です。
修学旅行やツアーなど、観光地をめぐり、乗客の旅行をより楽しく、満足のいく旅を提供する観光バス。この観光バスを運営には、地方自治体などが管理する公営と、民間があります。公営バスで働く場合、運転手も地方公務員という扱いになるのはご存じでしょうか。また、公営バスのほうが給与水準が高い傾向があるといわれています。しかし公務員といっても正規雇用か非正規雇用によっても額が異なります。
一方、民間が運営する観光バスは多くの場合、公営の観光バスより給与水準が下がります。だからといって、公営か民間かを気にしても、それほど意味がないかもしれません。なぜなら、観光バスの多くは自治体から委託を受けて民間が運営している場合もあるため、観光バスの運転手になるイコール、民間企業で働くということになるからです。近年では、民間と公営の収入差がなくなってきているとも言われています。
また、観光バスはその需要から、地域によって繁忙期と閑散期に分かれることがあります。従来は、閑散期には待機時間が長く、十分な給料がもらえないこともありました。しかし、現在は年間を通じて観光バスの需要があるため、時期による収入の違いが少なくなってきています。また、観光バスの運転手の体調面をしっかりサポートするために、繁忙期でもきちんと休みが取れるようになっています。
バス運転手の収入は繁忙期と閑散期で違うというより、正社員か契約社員で異なることがあります。基本給、賞与、各種手当てなどいずれも、契約社員より正社員のほうが優遇されるケースが少なくありません。
バス運転手にはどんな種類があるでしょうか。主なものを挙げると、前述した観光バスのほか、路線バス、高速バス、送迎バスがあります。
観光バスはすでにふれましたが、修学旅行やバスツアーなど、観光・娯楽の際の交通手段です。さまざまな観光地や絶景スポットなどを巡るため、旅好きの人のほうが楽しめるかもしれません。また、インバウンド需要により、ここ最近は安定して人気です。
路線バスは街中を走ったり、地方の町や村をつないだりしています。走行するルートは決まっていて、距離は短いことも多いため、長距離運転による疲れのようなものを感じることはほとんどないかもしれません。ただし、立っている乗客がいたり、比較的狭い道を走ったりすることもあり、ある程度高い運転技術が必要です。
高速バスは、高速道路を利用し、長距離を走行します。乗車料金が新幹線や飛行機に比べて比較的安価なこともあり、利用者に人気です。長距離走行に加え、夜間走行になることも多く、体力があって稼ぎたい人に向いているといっていいでしょう。高速道路でスピードを出しながら安定した運転をする技術が必要です。
送迎バスは、路線バスよりも限定した路線を走行し、停車箇所が限られ、特定の乗客を運ぶことが大半です。駅から会社やイベント会場、スイミングスクール、幼稚園、介護施設など送迎先はさまざま。比較的労働時間が短く、収入が他のバス運転手より低くなりがちですが、長距離走行や深夜走行などはほぼなく、規則正しい生活を送ることができます。
送迎バスを運転する場合は、普通自動車免許で対応可能な場合もあります。10人以下の乗客を運ぶ場合は、普通自動車免許での運転が可能です。しかし、バス運転手はそれ以上の人数の乗客を運ぶことが多く、大きなバスを運転する場合や、商業用に人を運ぶには大型自動二種免許が必要になります。
大型二種免許を取得するには満21歳以上で、第一種免許(大型、中型、普通、大特など)を取得後、通算3年以上を経過しているなど条件があります。
バス運転手になるための大型二種免許は、自分で運転学校に通い、取得する方法と、バス会社の養成制度を利用する方法があります。バス会社が免許取得の費用を負担してくれる場合もあり、新たにバス運転手を目指す人にはありがたいのではないでしょうか。
ちなみに、大型二種免許試験は難易度が高く、合格率は50%程度といわれています。
厚生労働省の調査によると、2022(令和4)年9月のバス運転者の有効求人倍率は2.06倍。全職業平均の1.20倍を大きく上回っています。バス運転手の職を求めているひと1人に対し、2社から求人がある、といっていいでしょう。
なりたくても、需要が少ないためになかなか就くことができない職種もありますが、バス運転手はその逆で、引く手あまたの職業といってもいいかもしれません。
国土交通省が2023年度中をめどに、非常に労働力が少ない産業に限って即戦力として外国人労働者を認めるという在留資格の「特定技能」に「自動車運送業」の追加を検討しているという話です。
ただ、高いハードルとなるのが免許です。
タクシーやバスはお客さんを運ぶための二種免許を取得しなければいけ。まず、運転免許には「一種免許」「二種免許」「仮免許」があります。
「一種免許」は一般的なものですが、「二種免許」はタクシー、バス、ハイヤー、運転代行など、旅客の運送が目的の場合必要な免許です。バスの場合は大型自動車の二種免許となります。
学科試験は全部“日本語のみ”ということで、「一種免許」は東京都だと英語もあります。日本語と英語から選ぶことができるんですけれども、「二種免許」は日本語しかないというのが問題。
ここで朗報です。二種免許について警察庁は、一種免許と同じ20言語(※)に翻訳した問題例を作成し、2023年度内に各都道府県警へ配布することになりました。20言語には英語、中国語のほか、アジアを中心に各地の言葉が含まれており、各警察は管内の外国人の居住状況に合わせて、外国語の問題を作るということです。
※2種免許の試験で対応が可能になる言語
*【 】内はその言語が主に使われる地域
日本交通ルールや制度を学んで自国で、日本式のバス事業を展開すれば、ホスピタリティの高さから人気が出るかもしれません。そうした意味で、日本側は労働力を得て、諸外国に対しては、新たな技術・サービスの輸出と思えば、良い制度になるのではないでしょうか。
バス運転手は大勢の乗客を乗せるので責任重大な業務ですが、多くの人の役に立つことができ、社会に貢献できるやりがいのある仕事です。バス運転手募集は60歳まで、というところが多いものの、業務によっては60歳以上の運転手にも門戸を広げている場合もあり、長く続けられる仕事といっていいかもしれません。
憧れだったバス運転手への就職や転職を考えている方、さらに人や建物の多い都市部で、ストレスを抱えて運転するより、雄大な土地を見ながらのびのび運転したいという方。ぜひ十勝で、憧れのバス運転手にチャレンジしてみませんか。