みなさんは「Uターン就職」や「Uターン転職」という言葉を聞いたことがありますか? 地方で生まれ育った人が都会で進学し、卒業後に再び故郷に戻って就職することを「Uターン就職」、卒業後に都会で就職してある程度の社会人経験を積んだのちに故郷で仕事に就くケースを「Uターン転職」と言います。
実は最近、この「Uターン就職・転職」の流れが注目されています。でも、「なんで今、Uターン……?」と思う方も多いはず。そこで今回は、最新のUターン事情や後悔しないためのポイントをわかりやすくお伝えします!
どうして今、「Iターン」「Jターン」ではなく、地元で働く「Uターン就職・転職」が選ばれているのでしょうか? 株式会社クリエイトが実施した意識調査によれば、その理由・きっかけのなかで最も多い回答は「住み慣れた土地で働きたいから」で、全体の37.4%を占めているのだとか。きっと都会で人生経験を積んだことで、生まれ育った故郷の魅力が見えてくることもあるのかもしれませんね。
続いて、「実家から通勤したい(19.5%)」「親に勧められたから(16.7%)」という回答が多く、やはり“土地勘があり、暮らし心地のいい地元で生活したい”という理由が大半を占めているようです。
一方で、「生活コストがかからない(13.7%)」「自然豊かな環境で働きたい(12.1%)」といった現実的な声も……。都会での「密」な生活に息苦しさを感じ、いわゆるワークライフバランスを見直して生活の「質」に重点をシフトする人たちが増えてきていると言えるでしょう。
ただし、誰もがUターン就職・転職に向いているわけではありません。移住してから「こんなはずじゃなかったのに……」と後悔しないためにも、まずは自分の適正を把握しておきましょう。
地元愛が強い人は、Uターン就職・転職に向いていると言えます。Uターンを検討している時点で多少なりとも故郷への愛着が伺えますが、「地元に貢献したい」という気持ちがあればさらにUターン向き。“地元で働く”ということは、その仕事が地域の人々に役立つことで成り立っているケースが多いです。
たとえば接客・販売や飲食業などは日常的に地域の人々と密に関わりますし、医療や教育、地方公務員として働くことも地元への社会的な貢献につながります。もちろん都会で働いていても役立つことはありますが、地元で働くことでより「地元のために自分が役立っている!」と実感できるでしょう。
2つ目は、「地元の文化や価値観が自分に合っている」と感じる人です。都市部と比べると、やはり地方のほうが近所付き合いが活発だったり、地域のイベントが頻繁に行われたりと、人とのつながりが深い傾向にあります。こうした人間関係や交流を「温かい」と感じる人もいれば、「煩わしい」と感じる人もいるでしょう。このような地方独特の雰囲気がしっくりくると思う人は、Uターン就職に向いていると言えます。
また、高校までを地方で過ごし、大学から都市部での生活を経験した人は双方の文化や人間関係を比較することができるでしょう。そのうえで「やっぱり地方の方が自分に合っている」と感じるなら、間違いなくUターン就職・転職に向いています!
3つ目はズバリ、「インフラの不便さを許せるかどうか」です。都市部と比べるとどうしても「電車やバスの本数が少ない」「車がないと生活が難しい」といったインフラ面での不便さが目立ちます。こうした点はUターン移住者として地方で働くにあたり大きな懸念材料となるでしょう。
また、インフラ以外にも商業施設や飲食店、娯楽施設の少なさなども挙げられます。都市部で不自由のない生活を経験した人にとって、こうした不便さは余計に強く感じられるかもしれません。それでも「不便だけど、我慢できるかも」と思えるのであれば、Uターン就職・転職向き。確かにインフラの不便さはネックですが、それを受け入れられたらUターン後に後悔することは少ないでしょう。
ここまでUターン就職・転職のポイントについてお伝えしてきましたが、やっぱり一番大事なのは経験者の“リアルな声”を聞くこと! 地元で働いて良かったこと、また想定外だったことなどさまざまな意見を取り込んで、Uターンのイメージを膨らませてみてください。
1人目は、東京から地元に戻り「Uターン転職」をしたAさん(40代女性)です。Aさんは地方の大学を卒業後、上京して食品系企業に就職。10年以上働いていましたが、30代後半に差し掛かったところで「このままのペースで働き続けられるのか?」と仕事に不安を感じるように……。賑やかな都心で自分がこの先も働き続けるイメージが持てず、移住を決意したといいます。
ただし、最初から地元に戻ろうと考えていたわけではなく、他の地方都市とも比較して“地元ならでは”の良さを見直した結果としてUターンを選んだとのこと。移住後に感じているメリットとしては、まず「日常的に美しい風景に癒される」こと。また、終電の時間が早いため無理に仕事を詰め込まず、ゆとりある働き方ができるようになった点も大きかったのだとか。時間に余裕ができたことで、スキルアップのための勉強も始めたそうです。
2人目は、東京の大手企業で働いていたBさん(30代男性)。職場ではそれなりに評価されるポジションについたものの、面倒な仕事を押し付けられたり、忙殺される日々が続き、「30歳を過ぎた今が転機かもしれない」と思うようになったそうです。地元に戻る確固たる決意があったわけではないものの、地元で働ける安定した仕事として「地方公務員」が思い浮かんだのだとか。
公務員試験には年齢制限があるものの、社会人採用枠に絞って職探しをしたBさんはこれをクリア。大手企業でのキャリアが評価され、見事採用されました。Uターン後は実家に近い場所で暮らし、家族との絆が深まったことに喜びを感じているといいます。一方で、「給料が下がった」「残業がなく、効率を重視した新しい手法を導入する姿勢が乏しい」など仕事面では不満もあるそう。今後は、経験を活かして情報処理系の資格を取得し、将来に備えています。「Uターンはゴールではなく、その後も着実に未来を見据えることが重要」と教えてくれました。
地元で働く「Uターン」のほか、「Iターン」や「Jターン」といった地方移住には少なからずデメリットがあります。自然豊かな環境は地方暮らしの大きな魅力である一方、子育て面では都市部と比べて学校の選択肢が少ないなど避けがたい現実も……。しっかりと情報をリサーチし、天秤にかけたうえで検討してほしいところです。
一方で、現在は国が地方移住を支援する動きが強まっており、首都圏から地方へ移住する人に支給される「移住支援金」の制度を活用する人が増えています。もしも都会の生活に違和感や不安を感じているなら、ぜひ一度「地方」に目を向けてみてはいかがでしょうか? 地方を活性化させる立役者として、新たな挑戦をしてみるのも素敵な選択肢です。
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