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【連載コラム】経営者は決算書を「自分の成果」として見ているか

2026-03-05

十勝の会社

【連載コラム】経営者は決算書を「自分の成果」として見ているか

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「税理士=決算書と申告書を作る人」。もし、そんなイメージを持っているなら、本連載はその考えを覆すかもしれません。信用金庫勤務から税理士業界で35年以上、数多くの中小企業の決算と向き合ってきた現役税理士が、経理の本質、税理士業界の現実、そしてDX時代の未来像を、正直に語ります。

吉川 孝(よしかわ たかし)

  1952年生まれ。北海道栗沢町出身。札幌南高校、小樽商科大学卒。北海道内信用金庫で11年間勤務後、会計事務所を経て1988年に税理士として独立開業。35年以上にわたり中小企業の決算・財務・経営に携わり、「正しい会計と経理こそが経営判断と信用力を支える」という信念のもと、事業承継や経営改善を支援。税理士・中小企業診断士・M&Aスペシャリスト。
主な著書 | 『なるほど正しい事業承継』『失敗しない事業承継の知恵』『後継者が育つ“よき経営者”の役割』  

税理士として長年、多くの中小企業の決算書を見続けてきました。その中で、常に強く感じてきたことがあります。それは、決算書を「自分の経営の結果」として実感している経営者が、実はそれほど多くないという現実です。

決算書は税理士や経理が作るもの、あるいは税務署に提出するための書類――。
そうした認識のままでは、決算書は単なる「後処理の成果物」で終わってしまいます。しかし本来、決算書とは、経営者自身の意思決定の積み重ねが数字として表れた、いわば経営の成績表です。

攻めに強く、守りに弱い中小企業

中小企業の経営者には、行動力があり、攻めの判断が早い方が多いと感じます。新しい取引先を開拓し、新商品や新サービスに挑戦する。その姿勢は、企業を成長させる原動力です。

一方で、守りの面――つまり資金管理、コスト管理、リスク管理が十分とは言えないケースも少なくありません。

  • 売上は伸びているのに資金繰りが苦しい。
  • 利益は出ているはずなのに手元にお金が残らない。

こうした状況は、決して珍しいものではありません。

その原因の多くは、決算書や財務情報を経営判断に十分活かしていないことにあります。数字を「結果」としてしか見ていないと、経営の軌道修正が遅れ、気づいたときには手遅れになることもあります。

不確実な時代に必要なリスクマネジメント

先行きが見通しにくい時代において、経営者にはリスクマネジメントの発想が欠かせません。しかし、リスクを恐れて何もしなければ、企業は成長できず、むしろ衰退していきます。

重要なのは、リスクを負いながら、適切に管理することです。

そのためには、勘や経験だけに頼るのではなく、現実を正確に映し出す数字が必要になります。

経理や決算は、夢やビジョンを語るものではありません。しかし、常に足元の現実を冷静に示してくれます。だからこそ、経営者にとって都合の悪い数字が現れることもありますが、それこそが経営にとって最も重要な情報なのです。

決算書は「経営を振り返る道具」

決算書は、過去を振り返るためだけの書類ではありません。過去を正しく振り返ることで、次の一手を考えるための材料になります。

  • どの判断が成果につながったのか。
  • どこで無理をしていたのか。
  • 改善すべき点はどこにあるのか。

こうした問いに答えるヒントが、決算書の中には詰まっています。決算書を「税務のための書類」として扱うか、「経営のための道具」として使うかで、企業の未来は大きく変わります。

税理士の役割は「決算を自分事にする」こと

税理士を目指す人に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。税理士の仕事は、正確な申告書を作ることだけではありません。

  • 経営者が決算書を他人任せにせず、自分の成果として受け止め、次の判断に活かせるように支援すること。
  • 数字の意味をかみ砕いて伝え、ときには厳しい現実も共有すること。

それが、税理士に求められる重要な役割です。

決算書を前にして、「これは税理士が作った数字です」ではなく、「これは、あなたの経営の結果です」と伝えられるかどうか。そこに、税理士としての価値の差が生まれます。

経理と税理士が経営を支える

経理は、企業の守備力を高める存在です。そして税理士は、その経理を通じて経営者の意思決定を支える専門職です。

決算書を「自分の成果」として見る経営者が増えたとき、経営は確実に変わります。その変化を支えるのが、これからの税理士です。

次回は、「経営者・経理・税理士の三者関係が経営をどう左右するのか」をテーマに、さらに踏み込んで考えていきます。

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