「週5フルタイムか、退職か。」そんな両極端メニューしかない会社は、そろそろ昭和の定食屋です。時短正社員は、正社員の安定とパートの柔軟さを“いいとこ取り”した、第3の働き方です。この記事では、メリット・デメリットから国内外の事例までをざっくり&じっくり解説し、企業と働き手の両方にとっての“現実的な救済策”かどうかを考えていきます。
【リスキリング】教育訓練休暇給付金で学び直し支援スタート! | 帯広 十勝の求人・移住なら【TCRU】北海道生活に役立つ情報
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時短正社員って、どんな生き物ですか?
「時短正社員」とは、無期雇用の正社員でありながら、所定労働時間を短くした働き方のことです。
簡単に言えば、
- 雇用の安定や福利厚生 → 正社員レベル
- 労働時間 → パートタイム寄り
という“ハイブリッド型の正社員”です。
育児・介護などでよく使われる「短時間勤務制度」は、あくまでフルタイム正社員が一時的に時間を短くする仕組みであることが多いですが、時短正社員は最初から短時間を前提に雇用契約を結ぶイメージです。
たとえば――
- 1日6時間×週5日
- 1日8時間×週4日
- 1日5時間×週4日+在宅
など、会社と本人の事情に合わせて設計できます。「フルタイム or 非正規」の二択だった世界に、“レギュラーだけど試合時間短め”のポジションが追加された、という感覚に近いです。
働き手にとってのメリット・デメリット
メリット:人生の“ハンドル”を取り戻せる
- 生活とキャリアを両立しやすい
子育て・介護・通院・学び直し・副業…。フルタイムでは「ごめんなさい」と諦めていた選択肢を、「じゃあ、この時間配分で」と設計し直せるのが時短正社員の強みです。 - 正社員としての安心感
社会保険・賞与・昇給・退職金など、制度設計によりますが、パートよりも“長期戦を前提にした待遇”を得られる場合が多いです。 - キャリアの“中断”になりにくい
一度離職すると、復帰時に「実務ブランク」が足かせになりがちです。時短正社員で細くても続けておけば、スキルも人脈も途切れません。 - 生産性マインドが育つ
「残業で帳尻を合わせる」という逃げ道がない分、優先順位付け・段取り・集中力が磨かれやすく、結果的に市場価値も上がりやすい働き方です。
デメリット:万能薬ではない現実も
- 収入は当然フルタイムより下がる
時給単価が同じなら、働く時間が減る分、月給・年収は小さくなります。生活設計とセットで考えないと、「時間はできたけど家計が苦しい」という本末転倒になりかねません。 - 責任はそのまま、時間だけ減る危険
仕事内容の調整がされないまま時間だけ短くなると、「常に時間に追われるハードモード正社員」になる危険があります。 - 職場文化次第で肩身が狭くなることも
「早く帰っていいな」「残業できないのにリーダーでいいの?」そんな空気が蔓延している職場だと、制度がかえってストレス源になります。制度だけでなく、意識のアップデートも必須です。
企業側のメリット・デメリット
メリット:人材難時代の“最後の一手”になりうる
- 優秀な人材の流出防止
結婚・出産・介護・病気などでフルタイムが難しくなった社員を、「退職」ではなく「時短正社員」という選択肢でつなぎとめることができます。 - 採用競争での差別化
「時短正社員OK」は、求人票に書けるかなり強いアピールポイントです。特に地方や中小企業では、「働き方の柔軟さ=最大の福利厚生」になりやすいです。 - 生産性向上のきっかけになる
短い時間で成果を出す前提にすると、「業務の棚卸し」「権限委譲」「ITツールの活用」など、組織全体の“ムダ”を見直すきっかけになります。 - 多様な人材ポートフォリオ
副業・専門職・育児中のリーダーなど、「フルタイムじゃないと正社員にしない」という固定観念を外すと、会社の“人材図鑑”が一気に豊かになります。
デメリット(という名の導入ハードル)
- 就業規則や人事制度の見直しが必要
所定労働時間・給与テーブル・評価制度など、ちょっとした“組織の骨格”にメスを入れる必要があります。これが一番の腰の重さの理由です。 - 人件費が読みにくくなる不安
時間単価を正社員と同等にすると、「パートより高コストでは?」という懸念が出ます。ただし、離職・採用・育成にかかるコストと比較すると、トータルでプラスという例も多いです。 - 社内の“公平感”の調整
フルタイム勢からすると、「同じ役職なのに給料はほぼ同じで、時間だけ短いの?」というモヤモヤが出やすいポイントです。業務量の調整・評価基準の明確化・情報共有ルールなど、設計と説明がカギになります。
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事例で見る「時短正社員」のリアル
※企業名は架空です
在宅+時短で人材が定着した株式会社ミライプリント
印刷関連の株式会社ミライプリントでは、「週2日出社+週3日在宅」「1日6〜7時間」という働き方の時短正社員が活躍しています。
パートから時短正社員に切り替えた人も多く、
- 時給単価や評価基準はフルタイムと同じ
- 子育てと仕事の両立が“当たり前”になった
ことで、離職率が低下し、採用力もアップしました。
「家で洗濯物を干してから正社員として働く」――そんな日常が、そのまま会社の競争力になっている事例です。
IT企業・テックフォレスト社の離職防止策
IT企業のテックフォレスト株式会社では、優秀なエンジニアが育児を理由に退職してしまうことが課題でした。
そこで時短正社員制度を導入し、評価制度を「長く会社にいる人」から「短い時間でも成果を出す人」へとシフトしました。
その結果、
- 育児中でも無理なくプロジェクトに継続参画できる
- キャリアを中断せずにスキルを伸ばせる
という環境が整い、会社全体の技術力やプロジェクト品質も安定して高まりました。「時短=補助要員」というイメージを壊した、象徴的なケースといえます。
和菓子店・つきのね堂の週休3日+時短勤務
地方の老舗和洋菓子店
「つきのね堂」 は、
を組み合わせ、女性社員のキャリア継続を後押ししています。
生産計画を見直し、手作業に頼りすぎないようデータと機械を活用したことで、限られた時間でも生産性を維持できる仕組みを整えました。
そのうえで、
- 「水・土・日休み」で平日に“自分の休み”を確保
- 管理職も週休3日で働くロールモデル化
を進めた結果、
「縦社会の職人の世界」から
「子どもの熱にも“お互いさま”で動ける職場」へ
と、組織文化そのものが柔らかく変わってきたといいます。制度だけでなく、価値観ごとアップデートした好例です。
兼業OKでクリエイターをつなぎとめるヘルスケア・リンク社
ヘルスケア関連サービスを展開するヘルスケア・リンク株式会社では、週20時間から働ける時短正社員制度を導入しています。
- 執筆やデザインなど、クリエイティブ職と兼業する広報担当
- 社内託児所で働く保育士の短時間正社員
など、「フルタイム前提では採用が難しかったであろう人材」を着実に戦力化しているのが特徴です。
時短正社員は、
を、“ちゃんと正社員として迎え入れるための器” になっています。働き方の柔軟性と人材の多様性が、そのまま企業のアイデアとサービスの幅を広げている事例です。
海外に目を向けると見えてくること
スウェーデン発祥の家具チェーンでは、非正規を廃止し、全員を短時間正社員化したことで、
- 給与・福利厚生は底上げ
- 人材の定着とスキルアップが進み
- コロナ禍でも売上は堅調
という結果につながりました。
ドイツでは「パートタイム・フルタイムを選ぶ権利」が法律で保障され、働く人の約4割が短時間正社員というデータもあります。
とある調査で日本ではまだ「ニーズ65.9%/導入15.9%」というギャップがありますが、「やってみた企業は“導入してよかった”派が多数」という傾向も見えてきています。
時短正社員は“甘え”か、“戦略”か?
時短正社員を「甘やかし」と見るか、「投資」と見るかで、会社の未来は変わります。
- 人口減少
- 採用難
- 介護離職の増加
- 副業・リスキリングの一般化
この4コンボが揃った日本で、「フルタイムで週5来られない人はいりません」は、もはや企業の側の甘えかもしれません。
一方で、働き手の側も、
- 限られた時間で成果を出す覚悟
- 情報共有やチームワークを意識する姿勢
- 収入と時間のバランスを自分で設計する力
が求められます。時短正社員は、「ゆるく働くための制度」ではなく、
“人生のハンドルを自分で握るための制度”と言ったほうが近いかもしれません。
地方・十勝・TCRUにとっての「時短正社員」
人口が減る地方では、「フルタイムでずっと働ける人」だけにターゲットを絞ると、あっという間に採用市場が枯れてしまいます。
十勝の企業にとって、時短正社員は――
- 子育て・介護中のベテラン社員を失わない
- Uターン・Iターンの移住者を受け止める
- 副業で関わる都市部の人材とつながる
ためのとても実務的な武器になりえます。
求職者にとっても、
- 「今は1日6時間、子どもが小学生になったらフルタイムに戻す」
- 「本業は時短正社員、残りの時間で農業やクリエイティブを試してみる」
といった段階的なキャリア設計が可能になります。
TCRUでも、
「時短正社員OK」「短時間正社員制度あり」といった条件を求人側・求職者側のマッチング軸として活用できれば、十勝での働き方の選択肢は、ぐっと立体的になるはずです。
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フルタイム信仰をそっと脱ぐ勇気
時短正社員は、まだ“マイナー枠”の制度です。
けれど、
の二択で苦しんでいる人がいる限り、「第三の道」を用意する価値は十分にあります。
企業にとっては、優秀な人材を手放さないための安全装置。
働き手にとっては、人生の節目でもキャリアを諦めないためのライフジャケット。
そんな存在として、時短正社員という働き方を、自社の制度や自分のキャリア計画にそっと並べてみてはいかがでしょうか。
フルタイム信仰を一枚脱いだ先に、意外と居心地のいい“ちょうどいい働き方”が見えてくるかもしれません。
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