「あの人、一体いくらもらっているんだろう……?」。こんなふうに誰も一度は気にしたことがあるであろう“他人の給料事情”。自分の年収と比べて高いのか、あるいは低いのか、知るのは怖いけれどやっぱり知りたいと思っている人も少なくないはず。そこで今回は、国税庁や厚生労働省から発表された信頼性の高いデータに基づき性別・年齢別の平均年収を「2024年の最新版」としてレポート。正社員の年収の推移とあわせて詳しく見ていきましょう!
国税庁が発表した「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、昨年(令和5年度)の1年間を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均給与は460万円で、前年比0.4%増。3年連続で増加となったものの、男女別で見ると男性は569万円(前年比0.9%増)、女性は316万円(同0.7%増)と男女間の収入格差が見て取れます。ちなみに、給与所得者の平均年齢は47.0歳(男性47.1歳、女性47.0歳)、平均勤続年数は12.5年(男性14.1年、女性10.3年)でした。
また、正社員と正社員以外の間にも顕著な違いが見られ、正社員の平均年収は530万円(前年比1.3%増)である一方、非正規社員は202万円(同0.7%増)と2分の1以下であることが判明……。男女別では正社員の男性が594万円、女性が413万円。一方、非正規社員の場合は男性が269万円、女性が169万円とのこと。やはり、正社員と非正規社員の間にそびえる“収入の壁”は高いと言わざるを得ない結果になっています。
年齢・世代別の平均年収は下記の表の通りです。これによると、年間を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、年齢が上がるにつれて増加する傾向があります。特に50代後半の層が最も高額となり、平均年収は545万円に達しています。
続いて業種別に見ると、平均年収が最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業で775万円。次点の金融業・保険業よりも120万円以上も上回る結果となりました。
一方、ランキング最下位となったのは宿泊業・飲食サービス業で、平均年収は264万円でした。ただし、この結果には正社員と非正規社員が混在していることに注意が必要。「電気・ガス・熱供給・水道業」では正社員がほとんどであるのに対し、「宿泊業・飲食サービス業」はアルバイトの比率が高いため、所得にも大きな差が生じる要因となっています。
2023年度の平均年収を見ると、正社員とそれ以外の雇用形態では大きな隔たりがあることが分かりました。そもそも「非正規社員」という言葉には、実際にはさまざまな働き方が含まれています。ここからはその違いについて説明します。知っておくと役立つ情報ですよ!
まずは「雇用形態」について。雇用形態とは、雇用契約によって決められた働き方を意味しますが、おおまかに「正社員」「契約社員」「派遣社員」「パート」「アルバイト」などに分類されます。これらは正規雇用と非正規雇用、直接雇用と間接雇用に大分されます。
「正規雇用」とは、会社と期間の定めがない雇用契約を結び、安定して働ける働き方のこと。正社員がこれに該当します。一方の「非正規雇用」は、契約期間が決まっているなど、正社員以外の働き方を指し、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員などが含まれます。5つの項目ごとに、おもな違いを見てみましょう。
●雇用期間
《正規雇用》 期間が定められず、自主退社や倒産などを除いて定年まで安定して働ける
《非正規雇用》 あらかじめ契約期間が決まっていることが多く、勤務の継続には更新が必要
●労働条件の安定性
《正規雇用》 福利厚生や雇用の安定性が高い
《非正規雇用》雇用期間が限定されているケースが多く、福利厚生面の待遇差も見られる
●勤務時間
《正規雇用》 フルタイム勤務が基本
《非正規雇用》 シフト制や時短勤務など柔軟な働き方が可能
●給与形態
《正規雇用》 月給制や年俸制が多く、固定の給与が支払われる 《非正規雇用》 働いた時間に応じて支払われる時給制がスタンダード
●法律で定められた労働条件
社会保険や有給休暇など法律で定められた条件については正規・非正規で違いはなく、同じ基準が適用される
正規雇用と非正規雇用とは異なる分類として、「直接雇用」と「間接雇用」があります。「直接雇用」では労働者と企業が直接労働契約を締結し、正社員やパート、アルバイト、契約社員がこれに該当します。片や「間接雇用」では労働者は勤務先ではなく、派遣会社と契約を締結。派遣社員はこちらの形態になります。
正社員は定年まで働くことができ安定した収入のほか、ローンの審査が通りやすいなど社会的信用を得られる。反面、残業や転勤が求められることもある。
フルタイムの正社員よりも労働時間が短いのが特徴。雇用は安定しており、給与や待遇も正社員と同じ基準で計算される。育児や介護と両立しやすいのが魅力。
雇用期間が定められている非正規雇用で、仕事内容が契約によって明確に決められているため、得意な分野で働けるのがメリット。ただし、契約更新がされない場合は収入が途絶えるというリスクも。
働く時間や曜日を選びやすく、仕事とプライベートの両立がしやすいのがメリット。掛け持ち勤務も可能だがシフトの状況に左右されやすく、安定した収入を得るのが難しい場合もある。
派遣社員は、派遣会社に登録し、紹介された企業で勤務。勤務地や業務内容を選べる自由度が高いものの、契約が更新されないリスクもあるため、長期的な安定が困難なケースもある。
今回は、正社員の平均年収や、正規社員と非正規社員の違いについて解説しました。働き方にはさまざまな選択肢がありますが、どの働き方が自分に合っているかは、人それぞれ異なることをご理解いただけたのではないでしょうか?
大切なのは、自分の状況や環境をしっかり把握し、やりたいことや理想の生活に合った働き方を選ぶこと。そして、その選択に納得して決めることが重要です。この記事があなたの選択の参考になれば幸いです!