令和4年賃金構造基本統計調査によると、バス運転手の現在の平均年収は以下の通りとなっています。
日本人の平均年収は「458万円」(令和4年度)とされているため、日本人の平均年収よりは多少低くなってはしまいます。
では次に、企業別で平均年収はどのくらい異なるのでしょうか。バス会社の年収ランキングをご紹介いたします。
1位:阪急バス 828万円
2位:西武バス 811万円
3位:東急バス 745万円
3位:京阪バス 745万円
5位:京王バス 710万円
6位:名鉄バス 593万円
7位:西鉄バス 574万円
1位の阪急バスの平均年収は828万円で,7位は西鉄バスで平均年収574万円となっており、1位の阪急バスの平均年収と比較すると、阪急バスの方が約254万円高いことがわかります。会社によって結構差があることがわかりますね。それとやはり、大手バス会社になると平均年収よりも高い年収を得ることができるみたいですね。もし、バス運転手として働こうとするならば、会社選びがとても重要になりそうです。
続いて、男女別のバス運転手の平均年収を見ていきましょう。
男性バス運転手の平均年収は400万円となっております。こちらも、日本の男性の平均年収は563万円とされているため、男性バス運転手と比較すると少々低くなってしまいます。
一方、女性バス運転手の平均年収は330万円とされており、日本の女性の平均年収314万円よりも高い額になっています。しかしながら、女性バス運転手の割合はとても低く、わずか2.1%となっています。そのこともあって、女性バス運転手は重宝されており、他の職業と比べても年収が高い傾向にあります。今だからこそ、女性にお勧めできる職業と言えるかもしれません。
それでは最後に、都道府県別のバス運転手の平均年収についてみてみましょう。10位までをランキングにいたしました。
1位:神奈川県 501.7万円
2位:福岡県 499.1万円
3位:埼玉県 450.9万円
4位:宮城県 445.3万円
5位:京都府 444万円
6位:東京都 429.9万円
7位:愛媛県 421.1万円
8位:三重県 420.6万円
9位:大阪府 420.6万円
10位:福島県 419.6万円
都道府県別の平均年収を見ると、1位は神奈川県で約501万円、2位が福岡県で約499万円、3位は埼玉県で約450万円でした。やはりと言うか、人口・交通量ともに多い傾向にある、都市圏の都道府県の年収が高いという傾向がありますね。しかしながら、8位の三重県や、10位の福島県など、必ずしもその地方を代表するような大都市ではない県もランクインしており、人口の多さ=年収ではないことがわかります。
職業としてのバス運転手は、タクシー運転手などのほかのドライバー業などと比べられることがよくあります。みなさんも、バス運転手と他のドライバー業と、どっちの年収が上なのか気になるのではないでしょうか?
では、他のドライバー職種との平均年収を比較してみましょう。
バス運転手の平均年収を他のドライバー職種と比較すると、長時間で長距離を運転することになるトラック運転手の平均年収には及ばないものの、預かる人数の多さか、タクシー運転手の平均年収より約37万円高いことが分かります。月収自体は、約30万円とタクシー運転手とあまり変わりませんが、バス運転手はドライバー職種のなかで最も年間賞与の支給額が多いことから年収において差がつく結果となっております
また、賃金構造基本統計調査によると、バス運転手の年齢別の平均年収は45〜49歳が最も高く、440万円でした。
45〜49歳までは年齢と共に、年収が上がっていく傾向があります。そのため、勤続年数を上げることにより、年収も上がると言えるでしょう。
参照:賃金構造基本統計調査 (職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
ひと口にバス運転手と言っても、バスにはいろいろな種類がありますよね。バスには、「路線バス」だけではなく「観光バス」「高速バス」などもあり、担当するバスの種類によってドライバーの仕事内容や給与が変わります。ここでは、それぞれのバスについて、仕事内容と給与の傾向をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
路線バス運転手は決められたルートを決められた時間に運行するのが主な役割です。地域の住民の外出や通勤・通学時など、日常の移動手段としての役割が大きいため、地域の足として人びとの役に立つことができます。また、お客さまとの距離が近く、ほかのバスと比べても接客スキルが求められます。
路線バスには、公営バスと民営バスの違いがあります。それぞれの定義と違いは以下の通りです。
「公営バス」は、主に地方公共団体(市町村や都道府県)が運営しているバスで、住民への公共交通の提供を目的としており、路線バスの多くが公営です。また、市町村や都道府県が運営している「市バス」「都バス」を運転する公営のバス運転手は、地方自治体の職員として採用されるので「地方公務員」として扱われる点は重要ですね。
「民営バス」は個人や企業が運営するバスを指します。民間企業なので、路線バスに限らず、観光バス・貸切バス・高速バスなどを利益重視で運営しているのが特徴です。
次に、給料の傾向についてです。公営のバスは公務員として給与が支払われるので、基本給や定期昇給、賞与などが一定の水準で保証されており、比較的安定した給与を得られる傾向にあります。 一方、民営バスは各バス会社の経営状況が従業員の給与に影響するため、会社の規模が小さく売上が上がっていない場合にはドライバーの収入も不安定になるかもしれません。逆に言えば会社が上手くいっていればその分給料も安定していきます。
観光バス運転手は、観光スポット・宿泊施設などへの移動手段としてバスを運行するのが主な役割となります。バスの運行を通して、旅行客であるお客さまの、楽しい思い出作りのサポートができる点が魅力です。また、乗務経験を積んでいくほど、担当する観光バスの運行距離が伸びていくのが特徴として挙げられます。
給料の傾向としては、都道府県をまたぐ長距離コースを担当すると、遠征手当や宿泊手当が出る場合があります。短距離コースで観光バス運転手としてのキャリアを積んだのち、積極的に長距離コースのドライバーを担当することで、収入のアップが期待できるでしょう。さらに経験を積めば、修学旅行・社員旅行などに使われる「貸切バス」の運転手として乗務することもできます。
高速バス運転手は、都市と都市、都市と地方とを結ぶ交通手段として使われる、高速バスの乗務を担当する仕事です。出発地点から目的地に到着し、乗客を降ろして出発地点に戻ってくるまでが一連の業務となります。また、深夜~早朝に運行する「夜行バス」は、より安全な運転が長時間求められようになります。
給料の傾向としては、高速バスは「路線バス乗務員として3年以上経験を積んだうえで、健康面・評価面で一定の社内基準に合格した人」が乗務できるようになる仕事なので、路線バスからのキャリアアップとして乗務することになります。当然給与も高い傾向にあります。また、夜間に運行する「夜行バス」の場合は深夜手当が付与されるため、給与がより高くなる傾向があります。効率的に稼ぎたい方は、昼間の高速バスより深夜~早朝に運行する夜行バスの運転手を狙ってみるのがいいでしょう。
送迎バス運転手は、の企業・学校・幼稚園・介護/養護施設・病院など、特定の場所と時間帯にお客さまを送迎するお仕事です。事前に乗せるお客さまが決まっており、1回の運行距離は短めとなっています。また、送迎用のマイクロバスなら、大型二種免許は不要で中型免許を持っていれば運転可能になります。送迎時間以外は送迎対象の施設整備・清掃などの業務を担当します。空港と都市中心部や主要なホテルを結ぶ「リムジンバス」も送迎バスのうちの一つです。
給料の傾向としては、送迎バス運転手は専属の送迎運転手として採用されることが多いため、決められた月給にプラスして、業績に連動した手当が付くことで、年収が高くなる可能性があります。特定の施設の専属ドライバーとして安定した仕事と収入を継続することができる点が魅力です。
貸切バス運転手は、修学旅行や社員旅行など、事前予約をしたグループが貸切利用できるバスの運転手です。事前に決められたルートで予約者が希望する目的地まで運行するのが仕事になります。移動距離や利用期間が長い場合はツーマン運行になり、途中で運転を交代します。
給料の傾向としては、貸切バス運転手は高速バス経験者や社内基準をクリアして、かつ実技試験に合格した人がなれるものなので、バス運転手のベテランが担当することがほとんどです。なので、バス運転手歴が長く、いくつかの基準をクリアしたうえでなる貸切バス運転手の給料は、経験の浅いバス運転手よりも高く設定されている傾向にあります。
それでは、バス運転手になるためにはどのようなプロセスが必要なのでしょうか?
バス運転手になるには「大型二種免許」の取得が必須となります。取得条件は以下のようになります。
バス運転手として必要なスキルである、接客スキル・車両の整備スキル・バス運転の技術は、バス会社に入社したあとの研修で身に着けることができます!
バス運転手になるためには、大型二種免許を取得できる自動車教習所で免許を取得することになります。通常の自動車免許と同じように、自宅から通学するか、短期間で集中的に取得を目指す合宿形式の2タイプから選べます。費用の目安は40~60万円で、合宿の方がより早く取得できます。通学だと平均2か月~3か月、合宿だと平均2~3週間かかります。
自分で大型二種免許を取得するとなると、多くの費用がかかってしまう点が難点となります。とくにドライバー未経験の人がいきなり大型二種免許を取得するのはハードルが高いと言えるでしょう。そこで、「大型二種免許取得制度」を活用すれば、普通免許しか持っていなくてもバス会社に入社でき、大型二種免許の取得費用を負担してもらったうえで、バス運転手になることができてしまいます。まずは「大型二種免許取得制度」を実施しているバス会社を探し、費用をかけずに大型二種免許を取得してみてはいかがでしょうか。
最後に、今注目のバス会社3社をご紹介いたします。昨今の公共交通事業には今逆風が吹いてしまっているのは事実ですが、その中でも地域のインフラを守るべく、懸命に動いている会社がたくさんあります。
西鉄バスは福岡県を中心に路線網を展開するバス会社です。2020年代に入り、環境負荷の低減やカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、各地のバス事業者で「電気バス」の導入が活発になり始めました。一方で、そのほとんどが中国のメーカーが製造するもので、国内で製造されるものはあまりありませんでした。そんな中、西鉄バスでは、国内の工場で製造する「レトロフィット電気バス」の導入を本格的に始めています。
「レトロフィット電気バス」とは、もともとはディーゼルエンジンを搭載した一般的なバスからエンジンや排気装置などを取り除いた後、新たに駆動用のモーターを搭載するなどして改造し、電気バスとして生まれ変わらせたバスです。まさに「レトロ」と「新しさ」が同居したこの取り組みは、たくさんの注目を浴びています。
岡山県に本拠地のある、両備グループのバス・鉄軌道ユニット(両備グループのバス、鉄軌道事業運営会社の総称)では、「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」と称して、公共交通をもっと楽しく、わかりやすく、使いやすく、「サービス業」としての進化を目指し、ユニークなバスイベントを実施しています。
例えば、「幸運のプラネタリウムバス」では、1日1台限定、かつ夜間のみ、車内でプラネタリウムを投影するバスが運行されました。また、2024年の8月からは、ふたつの企業は地元の企業、菅公学生服株式会社と青木被服株式会社と協同し、「AOHARE号」というイベントを実施。こちらのイベントでは、子どもたちに、ふたつの会社の服作りの工程で出た余り布をもとにSDGsについて学ぶワークショップに参加してもらい、余り布の素敵な活かし方を考え、アート作品を作りました。
そして、車内を、子どもたちが作ったアート作品に加え、カンコー学生服と青木被服が余り布をリメイクしたヘッドレストカバーでも装飾。バスに乗りながら、「どうしてこんなに綺麗なバスなのか?」に思いをはせていただくうちに、SDGsの17の目標のうちのひとつ「作る責任、使う責任」についても考えることができるという趣向となっています。
北海道帯広市を中心に路線網を広げている十勝バスは、2023年11月に、生鮮食品の販売やカフェを併設した新事業「大空ローカルハブ」を、帯広市大空町に誕生させました。将来的には、大空の地域住民と他の拠点を公共交通が結ぶことで、ヒト・モノ・カネを繋げるローカルハブを活用した新たな“まち”へと成長することが期待されています。
大空ローカルハブは、「帯広地方卸売市場」や「宮坂建設工業」といった複数の地元の事業者と連携し、2020年5月の決断から、3年半もの構想を経て実現しました。飲食店やデマンド交通のAI化、マルシェバスなど、多岐にわたるサービスが集約され、地域住民の生活利便性の向上と移り住み促進を図っています。具体的には、飲食店「にくや大空」やAIデマンド交通「おおぞライナー」などなど、生活コンテンツの大空地区への集中配置によって、生活の利便性が向上しました。
現在、十勝バスは、帯広市大空地区で展開される新たな都市開発プロジェクトにも中心となって参加しています。このプロジェクトでは、旧大空小学校跡地の再利用が計画されており、子育てや地域コミュニティの中心的場となることが期待されています。十勝バスは、宮坂建設工業グループと協同し、宅地開発だけでなく、物販や喫茶などの施設を含む新しいバスターミナルを整備することで、地域の交通インフラを強化する計画を進めているそうです。