税理士試験は「合格まで2,000時間以上必要」といわれる国家資格の中でも難関試験です。しかし、科目合格制を活用すれば、働きながらでも計画的に合格を目指せます。
本記事では、税理士試験の難易度や必要な勉強時間、社会人が合格するための学習戦略をわかりやすく解説します。
今、若手の税理士が求められている
日本税理士会連合会のデータによると、税理士業界の平均年齢は60歳前後とされています。

出典:日本税理士会連合会「データで見る税理士」
60代以上が全体の半数以上を占める一方、20代はわずか0.6%、30代を合わせても約11%にとどまっている状況です。
このまま世代交代が進まなければ、10年・20年後の業界を担う人材が確実に不足します。よって今、事務所側が若手の採用・育成に積極的になっています。帯広・十勝エリアも例外ではありません。資格取得を目指す20〜30代にとって、有利なタイミングです。
ただし、税理士試験の資格を取得するには受験資格を満たしていなければなりません。以下のページより受験資格をご確認ください。
税理士試験の難易度を正しくつかむ

「難関」のイメージがある税理士試験。たしかに難易度の高い試験ですが、仕組みを理解すると、社会人にとって取り組みやすい面もあります。
まずは「税理士試験の難易度」を正しくつかみましょう。
5科目合格までに必要な総勉強時間
税理士試験は、全11科目の中から5科目を選択して合格すれば資格取得となります。
大手予備校や通信講座のデータによると、5科目全体の総勉強時間は、2,000〜4,000時間が目安とされています。
必要な時間の幅が大きい理由は主に以下の3つです。
- 科目の組み合わせによって学習の総量が変わる
- 暗記や演習にかかる時間が人によって異なる
- 学習方法によって効率が左右される
会計科目(簿記論・財務諸表論)の2科目は必須科目です。残りの3科目は9種類ある税法科目の中から選びます。
どの科目を選ぶかによって勉強時間と難易度が大きく変わります。必ずしも、勉強時間の短い科目を選べばよいわけでない点も悩ましいところです。
「どの科目で戦うか」
「どう学ぶか」
この2つの選択が、合格までの時間を左右します。この点については、後半で詳しく解説します。
合格基準は満点の60%だが相対評価
国税庁が公表する合格基準は「満点の60%以上」です。
しかし実は、受験者の上位10〜15%が合格するように配点が調整される相対評価の試験といわれています。問題が難しい年は、60%に届かなくても合格できるケースがあります。
基礎問題を確実に取りこぼさず、難問は潔く捨てる。満点ではなく「周りより1点でも多く取る」ことを意識した戦い方が現実的な攻略法です。
出典:国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果」
働きながらの試験戦略

忙しい社会人が闇雲に学習を続けるだけでは合格は遠のくばかりです。ここでは働きながら税理士試験に合格するための戦略について紹介します。
科目選びはキャリアを重視
税理士試験は科目によって必要な勉強時間に差があります。
法人税法・所得税法:約600時間
国税徴収法・酒税法などの「ミニ税法」:約150時間
しかし、必ずしも勉強時間の短い科目を選べばよいわけではありません。ミニ税法は、多くの受験者が集中するため、1点のミスが合否を分けやすいシビアな競争になります。
学習時間よりも意識すべきは、理想のキャリアから逆算する点です。
たとえば企業の顧問として活躍したいなら法人税法、個人の相続対策に強みを持ちたいなら相続税法が王道の選択肢とされています。
また、効率を重視した科目選びもおすすめです。簿記論と財務諸表論は学習範囲が重なる部分が多く、同時学習で効率アップが期待できます。
どんな税理士としてキャリアを重ねたいのかを定めてから科目を選びましょう。
時間の使いかたを設計する
1科目あたりの勉強時間の目安は450〜600時間とされています。
これを1年(約300日)で割ると、1日あたり約1.5〜2時間の学習が目安です。このとき、机に向かう時間だけを勉強時間と考えないことが、社会人にとって必要な戦略です。
学習時間をスケジュールする際には、以下の3点を意識してみましょう。
- 朝型へのシフト:夜は疲れで集中力が落ちやすいため、出勤前の1〜2時間を活用する。
- スキマ時間の積み上げ:通勤中、昼休みなど10〜15分単位の時間を確保する。
- 繁忙期と直前期の使い分け:確定申告期(1〜3月)など仕事が集中する時期は現状維持に留め、試験直前期(6〜7月)に一気にギアを上げる。
解く問題の見極めが本番の鍵
税理士試験は「2時間の試験で3時間分の問題が出る」といわれるほど問題量が多く、全問を解き切ることはほぼ不可能です。そのため本番での立ち回りが合否を左右します。
以下の二点を心がけましょう。
- 他の受験生の多くが正答できる基礎問題を取りこぼさない
- 難問・未知の論点は即座に後回しにする「捨てる勇気」を持つ
相対評価の試験である以上、難問で差をつけようとするより基礎を確実に取る方が合格に近づきます。
学習を続けられる環境を選ぶ
どれだけ優れた戦略を持っていても、学習を続けられる環境がなければ意味がありません。
試験休暇の付与や試験直前期の残業配慮がある職場を選ぶことで、実務経験を積みながら学習時間を確保できます。
学習ツールの選択も同様です。手厚い指導と自習室環境を求めるなら大手予備校、コストを抑えてスマホで学ぶならオンライン講座が選択肢として挙げられます。
独学は費用を抑えられる反面、孤独な戦いになりやすく継続が難しいとされています。加えて税法科目の法改正対応が難しく、合格まで長期化するケースも少なくありません。
自分が学びやすい環境で試験に向けた準備を始めることが重要です。
税理士試験の学習環境は3つ

税理士試験に向けた学習方法は大きく3つに分かれます。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分に合うスタイルを選びましょう。
通学予備校
通学予備校はプロ講師による直接指導と充実した教材が強みです。自習室の利用や受験仲間と切磋琢磨できる環境は、モチベーション維持にも効果的といえます。
たとえば大手予備校の大原は官報合格者占有率が約48.5%とされており、実績の高さも魅力です。
一方で、費用は1科目あたり約15〜25万円、5科目合計で80〜100万円程度とされています。
十勝エリアからの通学は難しく、通信受講がメインになるため、通学予備校ならではのメリットを享受しにくい面もあります。
オンライン講座
オンライン講座は、受講料が1科目4万円台〜とリーズナブルで、スマホ1台でどこでも学習できます。約10分単位の動画講義やAIによる復習管理など、忙しい社会人に特化した設計が特徴です。
一方で、質問対応に制限がある場合や、自己管理能力がある程度求められる面があります。
独学
独学は費用を大幅に抑えられる点と、自分のペースで自由に学習できる点がメリットです。
一方、税法科目は毎年のように法改正が行われるため、市販の教材だけでは最新の改正内容や実務色の強い出題傾向の把握が難しいとされています。
少なくとも税法科目については講座の活用が現実的な選択肢といえるでしょう。
十勝で「働きながら学ぶ」という選択
税理士業界全体が深刻な人手不足にあり、若手(20〜30代)や科目合格者は「超売り手市場」の状況が続いています。
帯広・十勝エリアも例外ではなく、「受験生歓迎」を掲げる事務所が少なくありません。試験休暇の付与や試験直前期の残業配慮など、働きながら学べる環境が整っています。
税理士を目指すなら、こうした職場を選ぶことが戦略の一つです。
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高い壁も、戦略次第で越えられる

税理士試験はたしかに難しい試験です。
しかしその難しさは「超えられない壁」ではなく「戦略次第で越えられる壁」です。科目選び・時間の設計・学習環境の整備——これらを組み合わせることで、働きながらでも確実に前進できます。
そして今、十勝でこの資格を目指す意味はかつてないほど大きくなっています。業界の平均年齢は60歳前後で、20〜30代はわずか約11%。DXへの対応や後継者不足が深刻化する中、若手税理士の需要は高まり続けています。
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