自動車整備士の年収は、統計によって400万円台半ばから500万円程度が目安です。ただし、勤務先や資格、経験、役職によって収入には差があります。今の給与は妥当なのか。どうすれば年収を上げられるのか。転職も含め、整備士の収入とキャリアを考えます。
自動車整備士の年収

「整備士を続けたい。でも、この給料のままでいいのだろうか」。好きな車に触れ、技術を身につけ、資格も取った。それでも給与明細を見るたび、そんな思いが頭をよぎる人は少なくないでしょう。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、自動車整備士の全国平均年収は503.8万円、平均年齢は40.6歳。一方、業界団体の調査を基にしたデータでは、400万円台半ばという数字も出ています。
数字に幅があるのは、調査対象や集計方法がそれぞれ異なるためです。「自動車整備士の平均年収は○万円」と一つに決めるより、400万円台半ばから500万円程度を目安に考える方が実態に近いでしょう。
もちろん、これは若手からベテランまでを含めた平均値。20代前半では250万〜320万円程度から始まり、経験を積んだ30代、40代になると450万〜550万円以上を狙えるケースもあります。
つまり、自動車整備士は最初から高収入を得る仕事ではありません。経験を重ね、できる仕事を増やしながら、自分の市場価値を高めていく。その積み重ねが、収入にも表れてきます。
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勤務先で年収は変わる
同じ自動車整備士でも、「どこで働くか」によって給与水準は変わります。特に差が出やすいのが、ディーラーと民間整備工場です。
業界団体の調査を基にしたデータでは、ディーラー勤務の整備士は平均年収500万円台、民間整備工場では400万円前後となるケースが見られます。会社によっては年間100万円以上の差になることも。
ただし、数字だけで職場の良し悪しは決められません。それぞれに働き方の特徴があります。
ディーラーの特徴

ディーラーでは、メーカーごとの研修制度や社内資格、評価制度などが比較的整っている傾向にあります。経験を積んだ後は、サービスフロントや工場長へ進む道が用意されている会社もあります。
特定メーカーの車種や技術を深く学び、専門性を高めていく働き方。役職や社内資格によって収入を伸ばしたい人にとっては、キャリアを描きやすい環境といえるでしょう。
民間整備工場の特徴
一方、民間整備工場の魅力は、幅広いメーカーや車種に触れられること。乗用車だけでなく、トラック、農業機械、特殊車両まで扱う会社もあり、整備士として多様な経験を積めます。
「ディーラーだから良い」「民間工場だから給与が低い」と単純に考えるのは早計です。基本給だけでなく、賞与、資格手当、残業時間、休日数、福利厚生まで含めて比べたいところです。
給料が上がる背景

長く「整備士は給料が安い」と言われてきました。ところが、その状況にも少しずつ変化が表れています。大きな理由の一つが、自動車整備士の人材不足です。
車が使われ続ける限り、点検や修理は必要です。しかも、自動車そのものは年々高度化。ハイブリッド車、EV、電子制御装置、先進運転支援システムなど、扱う技術は以前より格段に広がっています。
今や、工具を扱う技術だけでは十分とはいえません。診断機器を使い、電子制御を理解し、新しい技術を学び続ける力まで求められる時代です。
見方を変えれば、これは整備士にとって追い風でもあります。人が足りない一方で、高度な技術を持つ人材は必要。その価値は、以前より高まっているからです。
企業側も、給与や休日、資格取得支援などを改善しなければ人材を確保しにくくなっています。整備士自身も「雇ってもらう」だけではなく、自分の技術をどの会社に託すかを考える時代です。
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年収を上げる5つの方法
年収を上げる方法は、一つではありません。資格を取る。役職を目指す。新しい技術を学ぶ。あるいは、自分をより高く評価してくれる会社へ移るという方法もあります。
上位資格を取得する

まず考えたいのが資格です。3級から2級へ、2級から1級へ。さらに自動車検査員など、担当できる仕事の幅を広げる資格もあります。
資格手当や昇進に結びつく会社なら、取得する意味は大きいでしょう。ただし、「資格を持っている=必ず高収入」ではありません。会社ごとの評価制度まで確認する必要があります。
求人を見る際は、「資格取得支援あり」という言葉だけで終わらせないこと。どの資格にいくら手当が付くのか、取得費用を会社がどこまで負担するのか。具体的に見ておきたいポイントです。
工場長などを目指す
整備技術を極める道だけが、キャリアアップではありません。サービスフロント、チームリーダー、工場長など、現場全体をまとめる立場へ進む選択肢もあります。
役職が上がれば、後輩の育成、顧客対応、仕事の割り振り、売上管理なども仕事の一部に。「整備ができる人」から、「整備工場を動かせる人」へ役割が変わっていきます。
30代、40代になり、技術だけでなく経験そのものを収入につなげたい。そう考える人には、管理職へのステップアップも有力な道です。
新しい技術を学ぶ
これからの整備士に欠かせないのが、新しい自動車技術への対応です。EVや電子制御など、自動車は今後も変化し続けます。
「一度覚えた技術だけで一生」という仕事ではありません。だからこそ、学び続けられる人は強い。新しい車両や設備に触れられるかどうかも、職場選びの重要な基準になります。
研修制度はあるか。資格取得を支援してくれるか。新しい技術を学ぶ機会があるか。今の給与だけではなく、5年後の自分が成長できる会社かどうかまで見ておきましょう。
評価される会社へ移る

同じ2級整備士。同じ経験10年。似たような仕事内容。それでも、会社が変われば給与が変わることがあります。給与制度も、評価基準も、会社によって違うからです。
資格も増えた。後輩の指導も任されるようになった。それなのに給与が新人時代からほとんど変わらない。そんな場合は、一度ほかの求人を見てみる価値があります。
すぐ転職する必要はありません。まずは「今の自分なら、外ではいくらで評価されるのか」を知ること。転職活動には、自分の市場価値を確かめる意味もあります。
待遇全体を比較する
求人を見るとき、年収だけで比べると判断を誤ることがあります。年収500万円で年間休日95日と、年収470万円で年間休日120日。同じ「好条件」とは言い切れません。
賞与、残業代、資格手当、工具代、退職金、住宅手当、家族手当、年間休日。数字を一つずつ見ていくと、求人票の印象は変わってきます。
給与の高さだけではなく、「その条件で、どんな毎日を送るのか」。ここまで含めて、自分にとっての待遇を判断したいところです。
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転職で見るポイント
転職を考えている整備士には、ぜひ実際の工場を見てほしいと思います。求人票には書かれていない情報が、現場にはあります。
工具は整理されているか。設備はきちんと管理されているか。スタッフ同士は声を掛け合っているか。若手が質問したとき、先輩はどんな反応をするのか。
こうした部分には、その会社の日常が表れます。
可能であれば、「ここで10年働いたら、どんな整備士になれますか」と聞いてみてもいいでしょう。給与ではなく、その会社が人をどう育てようとしているのかを見る質問です。
具体的な答えが返ってくるなら、社員の将来まで考えている会社かもしれません。逆に、目先の作業だけしか見えてこないなら、少し立ち止まって考える余地があります。
給与は求人票に書けます。でも、職場の空気までは書けません。
整備士だからこそ、車を点検するときと同じです。音を聞き、状態を見て、違和感を探す。転職先もまた、自分の目で確かめてから選びたいものです。
地方転職という選択

転職先を探すとき、都市部だけに目を向ける必要はありません。北海道・十勝のように車が生活に欠かせない地域では、自動車整備士は地域インフラを支える存在でもあります。
通勤、物流、農業、建設、観光、医療。日々の暮らしのさまざまな場面で車が使われています。特に北海道では、冬の道路環境を含め、安全に走るための整備が欠かせません。
車を直す。その先には、誰かの日常がある。
都市部とは違い、地域との距離が近いからこそ、自分の仕事が誰を支えているのかを実感しやすい。それも地方で働く整備士の魅力です。
一方、地方転職では年収だけを比べないこと。生活費や住居費、通勤時間、住宅支援などを含めれば、手元に残るお金や暮らし方は大きく変わります。
都市部で年収500万円。地方で年収450万円。数字だけなら都市部が上です。でも、家賃や通勤時間、自由に使える時間まで同じとは限りません。
転職は、給料だけを変えるものではありません。どこで、どう暮らすのか。そこまで含めて選び直す機会でもあります。
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整備士を辞める前に

仕事がつらくなると、「もう整備士を辞めようかな」と思うことがあります。そんなときは、一度だけ切り分けて考えてみてください。
嫌なのは、整備士という仕事でしょうか。それとも、今の会社での働き方でしょうか。
車を触ることは好き。故障の原因を見つけるのも面白い。修理が終わり、お客様から「ありがとう」と言われれば、やっぱりうれしい。それでも辞めたいのであれば、会社を変えるという選択肢があります。
職場が変われば、給与も休日も人間関係も変わります。扱う車種や任される仕事が変われば、同じ整備士という仕事がまったく違って見えることもあります。
資格を取るまでに使った時間。現場で覚えた技術。失敗しながら身につけた感覚。それは今の会社だけに通用するものではありません。
あなた自身が積み上げてきた財産です。
整備士そのものを辞める前に、その技術をもっと生かせる場所がないか。一度探してみる価値はあります。
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年収はこれから変わる

自動車整備士の平均年収は、統計によって400万円台半ばから500万円程度。ただし、それはあくまで平均値です。
勤務先、資格、経験、役職、地域。条件が変われば、収入も変わります。「整備士だから給料が安い」と、最初から決めつける必要はありません。
資格を取る。新しい技術を覚える。工場長やリーダーを目指す。そして、自分を正当に評価してくれる会社を探す。年収を変える方法はいくつもあります。
整備士には、一日では身につかない技術があります。
音を聞いて違和感に気づく。故障の原因を一つずつ切り分ける。昨日まで分からなかったことが、何年もかけて当たり前に分かるようになる。
その経験は、数字だけでは測れません。
だからこそ、自分の技術を安売りしないこと。
今の給与は、自分の仕事に見合っているのか。5年後、10年後、どんな整備士になっていたいのか。一度立ち止まって考えてみる。
転職は、その答えを探すための一つの方法です。
仕事を変えることは、それまで積み重ねた経験を捨てることではありません。
身につけた技術を持ったまま、次の場所へ進むことです。