家族の介護をきっかけに地元へ戻る。そのとき、多くの人が直面するのが「仕事をどうするか」という現実です。
都市部でキャリアを積んできた人ほど、こう感じるかもしれません。
「地方では自分の仕事の仕事を続けられないのではないか」と。
ズコーシャIT事業部の西尾さんも、かつてそう思っていました。
「十勝といえば農業。ITの仕事なんてないと思っていたんです」
しかし、実際にUターンしてみると、そこには地域を支えるITの仕事と、自分のスキルを活かせる新しい挑戦の場がありました。
家族の介護とキャリア。
どちらも諦めない働き方は、本当に実現できるのでしょうか。
今回は、Uターン転職で地元に戻り、家族の介護と仕事の自己実現を両立させた西尾さんのストーリーをお届けします。

帯広市に生まれた西尾さんは、地元の高校を卒業後、札幌の情報系の学校に進学。情報技術だけでなく経営情報学も学び、ITと経営、両方の知識を身につけました。
卒業後は札幌のソフト会社に入社。新人時代から新潟への長期出張を経験するなど、厳しい現場に身を置きながら、富士通系プロジェクトを中心に東京・札幌の案件に携わりました。
約13年間、現場で経験を積みながらがむしゃらに働き、その後、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のプロジェクトに参画。アーキテクトやプロジェクトマネージャーとして、大規模案件にも携わるようになりました。この時期に培った現場力と技術力が、その後のキャリアの土台となっていきます。
現場で培った経験をもとに、やがてフリーランスのエンジニアとして独立。東京を拠点に多くのプロジェクトへ関わり、ITエンジニアとしてのキャリアを広げていきました。その中で顧客や仲間から信頼を得て、仕事を超えた生涯の友人もでき、公私共に充実していました。
転機となったのは母の病気でした。ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたのです。父もすっかり弱気になっていることを知り、西尾さんは決断を迫られました。
「やっぱり帰らなきゃいけないな」
当時、西尾さんは30代後半。仕事は順調でやりがいもある。専門知識に現場経験もあり、これからもっと幅広く挑戦したい。キャリアとしてはまさに「これから」というフェーズでした。
それでも西尾さんは、家族を近くで支えることを選びました。地元・十勝へ戻る決断です。

Uターンを前に、西尾さんには大きな不安がありました。
「十勝にITの仕事なんてないと思っていたんです。農業のイメージが強い地域ですし、IT企業があるという発想自体がなかったんですよね」
十勝といえば、日本有数の農業地帯。広大な畑作や酪農など、農業が地域経済を支える大きな産業です。ITの仕事があったとしても、PCの使い方を教える講師業ではないか。東京で経験してきたような開発やアーキテクトの仕事は、地元にはないのではないか。そう考えていたといいます。
「ITの仕事は続けられないかもしれない」
当時、主な情報源だったハローワークの求人票を見ながら、そんな覚悟もしていたある日、目に留まったのがズコーシャの求人情報でした。
求人票の「フレックス制度」「IoT」の言葉を目にした西尾さんは「ITの仕事を続けられるかもしれない」と希望を抱きました。
西尾さんにとって重要だったのは仕事と介護を両立できる働き方でした。ズコーシャにはフレックス制度があり、家庭の事情に合わせて働くことができます。
一方、農業・環境・まちづくりをテーマに、建設コンサルタントとITの両軸で事業を展開する総合コンサルタント企業であるズコーシャでは、IoTをはじめとした新しい技術への取り組みを進めていました。
西尾さんはそれまで東京で、システム開発やプロジェクトマネジメントなどさまざまなITの現場を経験してきました。さらに、現場の課題を解決するためにIoTの仕組みを自ら構築した経験もあります。
こうした実務経験と課題解決への姿勢は、ズコーシャが目指していた新しい挑戦とも重なるものでした。
仕事と介護を両立できる働き方とこれまでの経験を活かせるフィールド。その両方が重なり、西尾さんは2020年にズコーシャへ入社しました。

「東京でやってきたITの仕事とは違う」
入社後、西尾さんが担当したのは、自治体向けシステムの運用やサポートでした。IT事業部という名前ではあるものの、システム開発というよりも、顧客の業務を支える運用の仕事が中心だったといいます。その現実に、少なからずギャップを感じました。
同じような違和感を抱いたキャリア採用の社員が、次々と辞めていく状況も目の当たりにします。
「このままじゃまずい」
そうした危機感から、西尾さんは組織の課題を社長に直訴。そして立ち上げたのが、若手中心の改善ユニット「チーム・リボーン」でした。
現場の声をもとに、少しずつ組織を変えていく。そんな文化が、チーム・リボーンから生まれていきました。経験の浅いメンバーでも手を挙げて挑戦できるこの環境は、新卒社員にとっても大きな成長の機会となっています。そしてこの動きが、現在のイノベーション課の礎となりました。
西尾さんは、これまでの知識と経験を活かし、次々とITによる課題解決を進めていきました。
たとえば、
経営の見える化
経営判断に必要な指標を定義。BIツールを活用し、経営状態を可視化する分析基盤を構築しました。
営業部のDX
現場の困りごとをヒアリングし、ITの視点で整理。最適なシステムを選定し、現場に合った形で導入しました。
こうした取り組みをはじめ、小さな改善を積み重ねながら、DXを現場に根付かせてきました。


現在取り組んでいるのが、介護施設向けのシフト作成システムです。
介護施設では、スタッフの資格や配置基準、個々の休日の希望など、多くの条件を考慮してシフトを組む必要があります。さらに、利用者の状況は日々変化し、それに応じて必要な人員も変わります。
その複雑な条件をもとに、利用者(ニーズ)とスタッフ(供給)の最適な組み合わせを導き出す仕組みを、生産計画の手法や、AIも活用し、実現しようとしています。
この取り組みは、介護施設で働く妻の困りごとをきっかけに始まりました。自身が母の介護を経験してきたことも、この開発に活かされています。
このシステムが実用化されれば、シフト作成にかかる時間の削減が見込まれるほか、属人化していた業務の標準化にもつながり、より安定した運営が可能になります。
さらに、より適切な人員配置が実現することで、利用者にとっても、働くスタッフにとっても、より良い環境につながることが期待されています。
西尾さんは言います。
「十勝にITの仕事なんてないと思っていました。でも、ここにも、面白い仕事はあるんです」

ズコーシャのIT事業部が大切にしているのは、技術スキルよりも人としての姿勢。ものごとに向き合うマインドセットです。
こうした姿勢を持った人と、一緒に働きたいと西尾さんは話します。西尾さんの言葉を借りれば、「好奇心が強く、ひとつのことをとことん突き詰められる人」です。
家族のために地元へ戻る。それは、キャリアを諦めることではありません。
ズコーシャには、地域の課題をITで解決する仕事があります。
そして、新しいことに挑戦できる環境があります。
「地方には仕事がない」
そう思っている人にこそ、一度知ってほしい会社です。
地方にも、挑戦できる場所はある。
西尾さんの歩みが、それを教えてくれます。

ズコーシャ IT事業部次長。自治体向けシステムの運用・改善を担いながら、社内DXや新規プロダクト開発を推進。若手主体の改善ユニット「チーム・リボーン」を立ち上げ、現在のイノベーション課の礎を築く。帯広市出身。札幌でITと経営を学び、ソフトハウスや伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のプロジェクトでアーキテクト・PMとして経験を積む。その後、東京でフリーランスとして活動。母の介護をきっかけにUターンし、複数社での勤務を経て2020年にズコーシャへ入社。現在はAI・IoTを活用した地域課題の解決に取り組む。愛犬家。