「ウチの牛がエネルギーを作る!?」なんて冗談も、バイオガスの世界では現実になるんです。深刻なエネルギー問題に立ち向かい、地球を救うヒーロー、それがバイオガス発電。今回は北海道十勝の畜産業と地域循環型社会をつなぐバイオガスプラントの魅力を掘り下げてご紹介します。副産物の「消化液」が畑を救う話も必見ですよ!
バイオガスは、生ごみや家畜ふん尿などを微生物が分解して生まれるガス。その主成分であるメタンをエネルギー源として発電する仕組みです。これで家畜も「地球を救うスーパーヒーロー」デビュー間違いなしですね。
十勝の畜産業では毎日大量のふん尿が発生しますが、これを単に処理するだけではもったいない!バイオガスプラントなら、そのふん尿を地域の電力に変え、さらに副産物の「消化液」は肥料として畑を豊かにします。一石二鳥どころか、一石三鳥のアイデアなんです。
「地域資源をフル活用して、エネルギーと肥料を生み出せる。これこそ十勝らしい持続可能な社会の姿です」と語るのは、株式会社FTバイオパワーの柴田浩明代表。十勝の広大な畑や牧場が、まるで巨大なエネルギー工場のように生まれ変わろうとしています。
バイオガス発電は、発酵槽で作られたガスを燃料に発電機を稼働させます。発電時に発生する熱エネルギーは、発酵槽の温度維持にも再利用されるため、エネルギーのロスがほとんどありません。まさにエネルギー界の「無駄なく使う達人」なんです。
「発電だけでなく、余熱や消化液なども無駄にしない。バイオガスは資源のフル活用を実現するんです」と同社の寺田智明CTO。
さらに、燃焼時に発生する二酸化炭素は、原料となる植物が吸収していた分を相殺するため、大気中のCO2を増やさない「カーボンニュートラル」。つまり、エコを極めた発電方法と言えるんですよ。
いかがですか?地球に優しすぎるバイオガスプラントに興味津々とまではいかずとも「なんかすごいな!十勝から地球規模の支援ができるの?」と感じたかと思います。
ちなみに、畜産ふん尿を用いたバイオガスの製造、製造されたメタンからの発電は1980年代からドイツで増えてきました。そして、ドイツのバイオガス協会は今日では1万を超える会員がいるとされ、メタン発酵における勢いがすごいですよ。
「FTバイオは、ドイツのバイオガスプラントメーカーであるWELTEC BIOPOWER GmbH社(以下 WELTECバイオパワー社)と提携。日本販売代理店として、バイオガスプラントを中心とした未利用有機資源の最適な循環システムの提供を目指しているんです」(寺田CTO)
次回の記事ではもう少し詳しくWELTECバイオパワー社とFTバイオが日本で進めるカーボンニュートラルについて解説しますが、今回はもう少しだけバイオガスについて掘り下げちゃいます。
バイオガスは、植物が大気中の二酸化炭素を吸収して成長した有機物を原料とするため、燃焼時に二酸化炭素を排出しても大気中の量は増加しません。これが「カーボンニュートラル」と呼ばれる特性です。
家畜ふん尿や食品残渣など、地域特有の廃棄物を有効活用できる点が魅力です。
発電した電力を地域で活用することで、電力コスト削減や雇用創出につながります。
バイオガスプラントのある十勝では、すでにFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を活用した売電が進んでいますが、それだけではありません。
「発電した電気を公共施設やプールの暖房に使ったり、地域の電力コストを下げたりと、地域全体で恩恵を受けられるんです」(寺田氏)
さらに驚くべきは、大樹町で進行中の「バイオメタンで熱気球やロケットを飛ばすプロジェクト」。なんと、十勝が宇宙開発のエネルギー源になる可能性も秘めているのです。これが実現すれば、「十勝産バイオガスで月旅行」なんて日も来るかもしれませんね。
消化液は畑の肥料になる優れものですが、その運搬コストや散布の手間が課題でした。しかし、近年の化学肥料高騰で需要が急上昇。地域内での循環利用が進めば、コストも下がり、より多くの農地で活用できるようになります。
「バイオガスの課題は確かに多いですが、一歩ずつ解決していくことで、十勝全体がモデルケースになれるはずです」(柴田氏)
バイオガス発電は、廃棄物を資源に変え、地域のエネルギー自給を可能にする夢の技術です。株式会社FTバイオパワーが描く未来は、ただのエネルギー革命ではなく、地域全体を循環型社会へと進化させる挑戦でもあります。
「私たちは、バイオガスを通じて十勝の未来を創ります。一緒にこの持続可能な社会を作り上げましょう」(FTバイオパワー)
さあ、あなたも地球を救う一員になりませんか?
次回【バイオガスプラントの普及は、胸を張って子ども世代に引き継ぐ仕事です】続きます。