いまだからこそ宇宙をやる。次の世代に誇れる日
本の未来を残したいから。

Sep. 12
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今回は、HOSPOを運営するSPACECOTANのメンバーをご紹介いたします!紹介するのは、SPACECOTAN株式会社でCOOを務める大出大輔。実は元々ゼネコンで耐震の研究をしていた大出。とあることをきっかけに宇宙の扉を開き、強い決意でHOSPO建設を推し進める中心人物です。なぜ宇宙に関わることになったのか、どんな思いで取り組んでいるのかを聞きました。

  大出 大輔(おおで だいすけ) SPACE COTAN COO

1991年東京都あきる野市生まれ。一級建築士、博士(工学)。2015年に株式会社大林組に入社。バスタ新宿の現場監督を経て、耐震技術の研究や新規事業創出に取り組む。研究成果で、数多くの受賞(一般社団法人免震協会創立20周年学生アイデアコンペ、一般社団法人建築振興協会優秀若手構造研究社表彰(コンクリート系)、日本建築学会大会鋼構造部門(鉄骨構造)若手優秀発表賞)や特許を取得。内閣府主催の宇宙のビジネスアイデアコンテストS-Booster2018での受賞を機に宇宙ビジネスに取り組み、2021年4月より現職。

宇宙も耐震も面白いけど、面白さよりも「より今やらないといけない」と思ったのが宇宙だった。

ーー大学在学中から耐震を研究していたようですが、なぜ耐震を研究していたんですか?

大学在学中から耐震を研究していたようですが、なぜ耐震を研究していたんですか?

  元々は建物をデザインする意匠系の建築士になりたかったんです。みんなが驚くような、新しい空間をつくりたいなと。でも、いざ建築学科に入ってみると、学科の同期の中では全然絵が上手くなかったんですよね。一般の人より上手くても、同業者の中で郡を抜きん出ることができないと感じ、建築のデザイナーにはなれないなと悟りました。ちょうど進路を決める大学3年生になる春休みの3月11日に、東日本大震災が起こったんです。3.11を期に、耐震の研究の道に進むことを決めました。  

3.11は東京もかなり揺れましたよね。耐震の研究とはどんな仕事ですか?

  建築のデザイナーは既存のパーツの組み合わせで、新しい空間をつくりますが、耐震の研究は新しいパーツを開発するような仕事です。新しいパーツをつくって使えば、私でも新しい空間が作れるのではないかと考えたのです。努力した結果、大学院を卒業するタイミングで大林組にご縁があり就職しましたが、入社してからも大学に通い博士号までとりました。  

えっ!働きながら博士号とったんですか!?偉すぎます…勤勉…

当時は大学教授の道も考えていたのです。下の世代を育てることは素晴らしいなと。ですが、宇宙に出会いまして、いまは宇宙一筋です!

大出さんが宇宙と関わるきっかけはS-Boosterですよね。それまで宇宙に対してはどういうイメージでしたか?

  それまでは宇宙のことをあまり知らなかったです。宇宙って遠い夢の話だと思っていたんですよ。例えば宇宙といえば宇宙旅行などが挙げられますが、莫大なお金がかかるから一般人には関係のない話で、ビジネスと捉えたことは一度もなかったです。S-Boosterには会社の人から声をかけてもらったのがきっかけだったのですが、せっかく声をかけてもらえたし、建築を学んでいた大学時代からコンペの経験がありコンテスト形式のものに慣れていたのもあって、アイディアを出してみようと思ったんです。  

※S-Boosterとは、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が主催する「宇宙を活用したビジネスアイディアコンテスト」。2018年には、大出が応募、最終選抜会では「地球内部のCTスキャン」というビジネスアイディアで、「未来コンセプト賞」を受賞した。

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受賞したアイディアは「地球内部のCTスキャン」とのことでしたが、耐震の研究で普段から地球の内側のことを考えているからこそのアイディアですよね。

宇宙をのことを知らなかったので、とにかくいろいろ調べたんです。スペースデブリ(宇宙ゴミ)の課題があることを知って、最初はそれを回収するアイディアを思いつきました。当時、既に株式会社アストロスケールという企業がスペースデブリ回収事業に取り組んでいたのですが、全く知らなくて。

CTスキャンを思いついたのは、耐震の事もありますが、3歳から続けていたサッカーで骨折したことがあって、それを思い出したからなんです。アイディアはこの2つで悩んでいましたが、結果的により斬新だと感じた地球内部のCTスキャンで応募しました。

その後、地球のCTのスキャンの研究はどれくらいの期間やっていたの?

  アイディアは、一次選抜・二次選抜を通過したファイナリストに対し、最終選抜でプレゼンテーションとなります。二次を通過したタイミングで、ミュオグラフィの研究をやっている大学を紹介してもらい、先生にメンタリングしてもらいながらアイディアをブラッシュアップしていきます。最終選抜後も実用化に向けて先生と相談しながらやっていた共同研究を進めたのですが、現在の技術レベルではコスト面での課題があり、プロジェクトを一旦ストップしています。  

宇宙の面白さがある?

  宇宙も耐震も、学問やビジネスの観点でおもしろさがあります。でも宇宙はおもしろさよりも、「より今やらないといけない」と思ったんですよね。耐震のことをずっと研究して大学教授という想いもありましたが、宇宙の予想のつかない未来をつくることに魅力を感じましたし、いま急激に成長しどの国も力を入れている宇宙産業は、日本もトップを狙えるんですよね。日本を牽引する宇宙産業を作っている、そこに使命感を感じてやっています。宇宙産業をつくれば、きっと子どもたちに良い社会を残せると思っています。  

HOSPOが上手く行けば日本が世界で闘える。日本の明るい未来をつくるのが使命

COOって何してるんですか?

  何でもやっていますよ!いまの一番大きな仕事は、企業版ふるさと納税を集めるために、たくさんの企業様とお話をしています。その企業にとってどんな良いことがあるかやHOSPOを通してどんなおもしろい未来があるかをご説明して共感してもらう、大きな仕事です。その他にも広報的なことをやったり、宇宙サミット企画運営、そして建築のバックグラウンドを生かして発射場の計画もしています。  

本当に幅広いですね。3拠点活動らしいですが、どんな働き方をしてるんでしょうか?

  大樹町・札幌・東京を行き来しています。大樹町では、HOSPOの射場を使ったロケット打ち上げ作業時には必ず帰ってきています。十勝管内の企業様に、企業版ふるさと納税のお願いもしに行っています。札幌では、HOSPOの成功が日本の宇宙産業における重要な鍵であることから「オール北海道」でやっていくために、協業や企業版ふるさと納税のお話を企業様としています。東京の企業様にも企業版ふるさと納税のお話をしに行っています。他にもロケット打上げ射場の適合認定のため、内閣府とのやり取りが発生するのでそんなことをやっています。  

ハードですね…!

そうですね…すごくハードです。でも、辛い労働とは感じていないんですよ。やっぱり、HOSPOを通して、日本の次の世代に誇れるような明るい未来をつくるのが使命と感じているので、楽しんで仕事をしています。

北海道には関わりがあったんですか?

  ISTに関わるまで縁はなかったです。大樹町に家を借りているのですが、暮らし方が全く分からないんですよね(笑)家にエアコンがなくて驚きましたし、灯油タンクが家にあってそこに灯油を入れなきゃいけないとか、車がないと生活できないのも初めてですし、まだ冬を迎えたことはないのですが、水抜きしなきゃいけないとか、暖房をつけておかなきゃいけないとか、冬の過ごし方の作法を聞いて気後れしています。  

確かに家を空けがちな方は、水抜きに失敗して水道管を破裂してしまいがちですね。

北海道の好きなところは、星がきれいなところと、ご飯がおいしいところ、そして色んな人が顔を覚えてくれるところです!

35年前に生まれた構想を、やっといま、実現させる。

研究職から離れ、COOとして、まだ4人しかいない会社ではたらくことへのギャップは?

  元々、大学生の頃からいつかは起業しようと思っていたので、あまり戸惑いもなくこの状況を楽しんでいます!と言いつつ、大企業に務めたままではやらないであろう経理のことや、出資のデューデリジェンスもやったりしてまして、キャリアチェンジをしなければ経験することがなかったようなことに挑戦できていて、戸惑いつつも成長と思います。  

北海道スペースポートを開港するという過去に前例がないことへの挑戦についてはどう捉えていますか

この北海道大樹町にスペースポートを開港するというプロジェクトは、35年前から構想があり、大樹町がずっと取り組んできて、ようやく実現の段階に来たんです。過去からの流れを尊重しながら、ここでやっと実現させるんだという気持ちを持っています。

HOSPOならではの面白さはどんなことですか?

  スケールがとても大きいこともそうですが、前例のないことを自分たちで考えて決めて進めていけることが、とてもおもしろいんです。これまで私がやってきたような研究は、過去にやられてきた研究を調べて、参考文献を読みながらやるんですが、HOSPOは参考文献も何もないですから、かなり勝手が違いますね(笑)  

不安や怖さはないんですか?

大企業の中で意思決定するためには理論を整えますが、前例がないのでやってみなきゃ分からないことも多いです。大企業にいたままだったら判断できないことも多いですね…とにかくあらゆる意思決定において、一番最善を尽くしています。

ただの企業の集積じゃない、めちゃくちゃ夢と活気があふれる十勝になる

2023年にL-1が完成し、2025年にはL-2完成ですが、その先はこの宇宙港を使ってどんなことをしてみたいですか?

いろんなロケットやスペースプレーンが大樹町から打ち上がって宇宙の拠点になっていく。そうすると、ロケットや人工衛星の製造会社だけじゃなくて、それらを支える部品提供会社など宇宙関連企業が集まってきてますよね。それからきっと打上げを見に観光客も来る、その観光客が利用するホテルや飲食業ももっと賑わいます。もう宇宙産業の話を超えて、まちづくりの取り組みですよね。長年建築に携わってきた身としても、とてもワクワクしています。

どんな社会、どんな北海道、どんな十勝を想像していますか?

  宇宙関連企業や観光客の賑わいは大樹町だけでは収まらず、十勝管内、北海道に集まってきますよね。宇宙に関心のある人の特性として、とにかく前向き、ポジティブ、夢や目標を持って物事に取り組んでいる方がすごく多いんです。宇宙産業の集積って、そういう人が集まってくるということ。ただの産業の集積じゃないんです。めちゃくちゃ夢と活気が溢れています。  

宇宙産業の人は、まだ発展途上ということもあって、分け隔てなく「宇宙」という仲間意識があります。例えばIST以外のロケット製造会社が来ることもあると思います。会社としてはライバルでも、宇宙産業の仲間同士で仲良く飲みながら話し切磋琢磨しているような様子が見られる、そんな町なるんじゃないかなと思っています。

農業・漁業が盛んな十勝だからこそ、宇宙との親和性も良さそうですよね。

一次産業は宇宙のデータや人工衛星を利用することにより、省力化を可能にしたり、より快適に仕事をしてもらうことが可能になります。そうやって得られた食物を、同じ十勝にいる宇宙に関わる人たちに地産地消してもらう。宇宙産業が発展すれば、雇用や観光客が増え、より多くこの地域で地産地消が増えていく…宇宙産業の成長は、既存産業の人たちにも、生活がより豊かに、楽しい町になったと思ってもらえるんじゃないかと思います。

実際、7月末に発表したHOSPO SUPPORTERSというコミュニティでは、約30社にも及ぶ、十勝帯広地域を代表する企業、北海道を代表する企業、全国を代表する企業の方々や、北海道オール・オリンピアンズ、北海道コンサドーレ札幌、北海道十勝スカイアース、レバンガ北海道など、北海道を代表するスポーツ団体が加入し、北海道そして日本を盛り上げていきます。このコミュニティは今後も拡大し、より多くの仲間と、宇宙版シリコンバレーの実現に向けて取り組んでいきます!!

北海道十勝に、民間の開かれた宇宙港ができる意義について教えてください

  ロケットは宇宙への物資輸送手段であって、宇宙港は宇宙への物流拠点です。HOSPOが大樹町にできるこにとよって、日本における宇宙への輸送業を改革し、日本の宇宙産業が世界に通用する存在になると思っています。それが、民間の開かれた宇宙港ができる意義です。35年前から大樹町が「宇宙のまち」として宇宙港建設に取り組んでいるのは、地理的優位性が日本で最も高いからです。海が東と南に開けていて、投入軌道に合わせて東にも、南にも打ち上げられますから。日本で宇宙輸送をしようと思ったら、大樹以上に適地はありません。輸送の部分を快適にする、それが一番大きな意義だと思います。  

HOSPOに関わりたい!という方に向けて、どんなことをすればよいか教えてください

  いろんな関わり方があると思っています。私たちの持つ課題の一つとして、北海道にスペースポートを作り宇宙港として機能させることが、どれだけ意義深くて日本のためになるかを、宇宙に関わりのない一般の方になかなか認知してもらえていないことなんです。一般の方は、過去の自分と同じように「夢の話」だと思っている気がしていて。でも、タイミングとしては絶対にいま取り組まないといけない、そうじゃないと他国に遅れをとってしまうのが宇宙産業です。そういうことを正しく知ってもらうことが大切だと思うので、最初のステップとして、TwitterやFacebookなどのSNSでHOSPOの情報をキャッチしてほしいです!リツイートやいいねもしてもらいたいです。それにより多くの人に正しく認知され、応援者が増えていくと思います!  

  他にも、ふるさと納税という手段もあります。住民税が一定額控除されますし返礼品ももらえて、私たちもその資金を射場に回すことができます。プラスアルファで応援してもらえるならば、8月27日より実施するクラウドファンディングに、ぜひご支援をお願いいたします!用意しているリターンも魅力的ですし、より積極的にHOSPOに関わることができ、まさに「みんなでつくるスペースポート」を実現していくプロジェクトになっています!  

最後に

私がHOSPOを成功させようとしている一番の理由は、次の世代により良い社会を残したいと思っているからです。自分たちの子もの世代のために、みんなで宇宙産業を盛り上げていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!
本記事は、2021年8月にnoteで公開されたものになります。
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