萩原建設工業株式会社で総務部経理課の担当課長として活躍する吉井由恵さん。前例のなかった同社で結婚・出産後もキャリアを続けられる道を開き、女性が働きやすい環境づくりに大きく貢献したそう。今回は、そんな吉井さんの取り組みや、彼女が実現した「育児とキャリアの両立」までの道のりと、仕事以外の横顔についてお届けします。
吉井由恵さんは、北海道帯広市に拠点を置く萩原建設工業株式会社に2013年入社。同社は、地域の発展に貢献する100年以上の歴史を持つ企業ですが、彼女の入社当時は、結婚や出産後に女性がキャリアを続ける前例がほとんどなかったという。
「結婚・出産後も働きたい」との思いを抱いていた吉井さんは、まずは自分がその前例を作る決意をします。「最初は戸惑いもありましたが、上司や同僚が私の意見を真摯に受け止め、上司を含めて会社は新たな規定を一緒に整えてくれました」と語る吉井さん。その結果、育児休業の取得や時短勤務など、女性が働き続けられる環境が整備されたと言います。
「今でこそ、当たり前なんですが当時は不安もありました。が、スムーズに進んだのは、部下の話を上司が聞き、課題を解決するという風土があったからこそかもしれません」(吉井さん)
2018年、吉井さんは第一子を出産し、育児休業を取得しました。その際も、上司からのサポートがあり、復帰後もスムーズに業務に戻ることができたと言います。「育休中も定期的に会社から連絡があり、職場に戻ることへの不安はありませんでした」と吉井さんは振り返ります。
育休後に復帰した吉井さん。会社側が、吉井さんの育休中、アウトソーシング(人材派遣サービス)を活用して彼女の業務をカバーしてくれたこともあり、残されたスタッフへの負担もなかったことが幸いし、スムーズに職場に戻れました。
そして、2024年6月には担当課長に昇進し、現在は2人の部下を持つリーダーとして活躍。「前例を作ったことで、今では結婚や出産後も会社に残るのが当たり前になりました」と吉井さんは笑顔で語ります。
吉井さんの前例は、萩原建設工業におけるダイバーシティ&インクルージョンの一環としても大きな意義を持っているでしょう。同社では、性別やライフステージにかかわらず、誰もがキャリアを描ける環境づくりを推進しています。
「女性の働き方を尊重し、キャリアパスを描けるようにすることで、企業全体の成長につながると感じています」(吉井さん)
前例を作った吉井さんですが、仕事と家庭の両立を図りながらも、自分自身の時間を大切にしているそう。
「仕事の合間には、漫画を読むことが私の最大のリフレッシュ方法です。最近は『本好きの下剋上』を楽しんでいます。他にも、映画化された名漫画『スラムダンク』を読み返したり、好きな漫画は大人買い(全巻購入)しちゃうんです」と筋金入りの漫画好き。
子育てや仕事に追われる日々の中でも、自分の趣味を楽しむことが、彼女にとってのストレス発散となっているのでしょう。
萩原建設工業は、100年企業としての伝統を守りつつ、時代の変化に対応した企業風土を築いています。吉井さんが前例を作ったことで、今後も多くの女性が同社でキャリアを描き、活躍していくことでしょう。
「私たちの仕事は、建造物を通して人々に安全・安心を提供し、幸せを届けることです。その一環として、社員一人ひとりが幸せに働ける環境づくりも大切だと考えています」と吉井さんは力強く語ります。
吉井由恵さんの前例は、萩原建設工業だけでなく、多くの企業にとっても参考になるはずです。結婚・出産後もキャリアを続けたいと願う女性たちにとって、吉井さんの取り組みは希望の光となること間違いなし!そして、忘れてならないのは、時代にマッチした制度を経営陣が本気で取り組む姿勢を持つこと。
萩原建設工業は、2024年問題への対応も早く、週休2日制度の導入や残業減少への取り組みのほか、音楽フェスの開催やスタートアップ支援など、社員だけじゃなく、地域がイキイキするための取り組みに定評があるんです。
吉井さんの例はあくまで一例。彼女のようなリーダーが増え、女性が活躍できる社会が広がるだけじゃなく、多くの人材が活躍できる場所、それが萩原建設工業なのかもしれません。
江別市出身。大麻高等学校卒、小樽商科大学社会情報学科卒業。就職とともに帯広市へ移住。自動車販売会社勤務を経て2013年、萩原建設工業入社。経理課配属。2018年に出産とともに、1年間の育児休業を取得。育休や子育て支援の規程を上司と共に作成に携わる。2024年担当課長に昇進。趣味は漫画。